HEALTH WORDS / 用語解説
象牙細管
dentinal tubule
象牙細管とは、歯の硬組織である象牙質の内部を歯髄(歯の神経や血管が通る組織)からエナメル質またはセメント質との境界に向かって放射状に密に走る、微細な管状の構造のことである。12
ヒトの歯において、象牙質は歯の大部分を占める組織であり、その容積の大部分は象牙細管とそれを満たす象牙細管液、および象牙芽細胞の突起(トームス線維)によって占められている。12
象牙細管の形態や密度は、歯髄に近い部位と外側の表面に近い部位(エナメル質との境界付近)とで異なっている。12
歯髄側では細管の径が太く、単位面積あたりの数も非常に多いが、エナメル質やセメント質に近づくにつれて細管の径は細くなり、枝分かれ(分岐)しながら数も減少する傾向がある。12
この構造的特徴により、象牙質は外からの刺激を歯髄へと伝える感受性を持つ組織となっている。12
臨床医学および歯科医学において、象牙細管は知覚過敏(象牙細管知覚過敏症)の発症メカニズムと深く関わっている。12
虫歯(う蝕)や歯肉退縮、歯の磨耗などによって象牙質が口腔内に露出すると、冷たい飲食物や熱いもの、触覚などの外部刺激が象牙細管内部の組織液(象牙細管液)の移動を引き起こす。12
この液動説(流体動態説)と呼ばれる機序により、細管内の液体の移動が歯髄内の神経線維に機械的刺激として伝達され、一過性の鋭い痛みを生じる原因となる。12
また、象牙細管は細菌やその代謝産物が歯髄へ侵入する経路としても機能するため、保存修復治療や根管治療などの歯科治療においては、細管の封鎖や消毒が歯髄炎の予防や治療の成功において重要な要素となる。12