HEALTH WORDS / 用語解説
非極性物質
Nonpolar substance
非極性物質とは、分子全体としての電気双極子モーメントがゼロ、あるいは極めて小さく、電荷の偏りがほとんど存在しない化学物質の総称である。1
多くの非極性物質は、分子を構成する原子間の電気陰性度の差が非常に小さいか、あるいは分子構造が完全な対称性を持っているため、極性を示す結合モーメントが互いに打ち消し合う性質を持つ。2
物理化学的な特性として、非極性物質は「似たものは似たものを溶かす」という溶解度の経験則に従い、水のような極性溶媒には極めて溶けにくく、ベンゼンやヘキサン、ジエチルエーテルといった有機溶媒や他の非極性物質に対して高い溶解性を示す傾向がある。3
生物学および生化学の分野において、非極性物質は細胞膜の構造形成や生体分子の機能維持において極めて重要な役割を担っている。4
例えば、脂質の一種であるトリアシルグリセロールやコレステロールのエステルなどは典型的な非極性物質であり、水に不溶であるため細胞質内や血液中でリポタンパク質などの特殊な複合体を形成して存在している。3
また、リン脂質が持つ脂肪酸由来の長い炭化水素鎖は非極性領域を構成しており、これが二重層構造を自発的に形成することによって、細胞の内外を隔てる生体膜の基礎的なバリア機能がもたらされている。4
タンパク質の立体構造においても、非極性アミノ酸残基(ロイシン、イソロイシン、バリンなど)の側鎖は疎水性相互作用を駆動する主要因となり、水分子を避けてタンパク質の内部へと折りたたまれることで、安定した三次構造の維持に寄与している。3
参考文献・出典
- e-Stat政府統計の総合窓口: https://www.e-stat.go.jp/ ↩
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/ ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3
- CiNii Research: https://cir.nii.ac.jp/ ↩1 ↩2