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HEALTH WORDS / 用語解説

ALK融合遺伝子陽性肺がん

ALK-rearranged non-small cell lung cancer

ALK融合遺伝子陽性肺がんとは、ALK(Anaplastic Lymphoma Kinase:未分化大細胞リンパ腫キナーゼ)遺伝子と別の異なる遺伝子が何らかの原因で結合し、異常な融合遺伝子が形成されることによって引き起こされる非小細胞肺がんの一種である。1

肺がんは、組織型によって大きく非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類されるが、ALK融合遺伝子陽性肺がんは前者のうち腺がんという組織型において比較的多く見られる遺伝子変異を伴う疾患である。2

この融合遺伝子から産生される異常なタンパク質(キナーゼ活性を持つ融合タンパク質)は、細胞の増殖や生存シグナルを常に活性化させ、腫瘍の無秩序な成長を引き起こす原動力となる。3

ALK融合遺伝子陽性肺がんは、喫煙習慣との関連が薄い若年層や女性、あるいは非喫煙者に発生しやすいという臨床的な特徴を有している。1

しかし、喫煙者の発症が全く見られないわけではなく、すべての肺がん患者にとって重要なバイオマーカー検査の対象となっている。2

近年の分子生物学およびゲノム医療の飛躍的な進歩により、患者の組織や血液を用いた遺伝子検査(コンパニオン診断など)によって、この異常な遺伝子変異を正確に検出することが可能となっている。4

ALK融合遺伝子陽性肺がんに対する治療においては、従来の一般的な細胞障害性抗がん剤や放射線療法に加え、異常なALK融合タンパク質の働きを特異的に阻害する分子標的薬(ALK阻害薬)が開発され、臨床現場で広く用いられている。1

ALK阻害薬にはクリゾチニブをはじめとする第1世代から、より高い脳転移への効果や耐性変異への対応が期待される第2世代、第3世代の薬剤が存在し、患者の病態や治療歴に応じて選択される。2

これらの分子標的薬の登場により、ALK融合遺伝子陽性肺がんの予後や治療成績は大幅に改善されてきたが、長期間の投与によって薬剤耐性を獲得しがん細胞が再び増殖してしまうケースも臨床的な課題となっている。3

そのため、耐性化のメカニズムを解明するための研究や、新たな世代のALK阻害薬の開発、さらには他の治療法との併用療法に関する臨床試験が国内外で精力的に行われている。4

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/ALK/index.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 日本肺癌学会: https://www.haigan.gr.jp/guideline/2022/index.html ↩1 ↩2 ↩3
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html ↩1 ↩2
  4. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/gan/gan_taisaku_shien06.html ↩1 ↩2