HEALTH WORDS / 用語解説
MRJP2
Major Royal Jelly Protein 2
MRJP2とは、ミツバチ(Apis mellifera)の王乳(ローヤルゼリー)に特異的かつ豊富に含まれる主要タンパク質ファミリー(Major Royal Jelly Protein)を構成する分子の一つである。1
ローヤルゼリーは女王蜂の幼虫の唯一の餌であり、工蜂の下咽頭腺および大顎腺から分泌される乳白色の物質である。2
そのタンパク質分画の大部分を占めるのがMRJP群であり、現在までにApis melliferaのゲノムから複数種のMRJP(MRJP1からMRJP9まで)が同定されている。1
MRJP2はその中において主要な成分の一つとして知られており、ローヤルゼリー全体の生化学的特性や栄養価の維持、さらには幼虫の発育において重要な役割を果たしていると考えられている。2
分子量やアミノ酸配列の解析において、MRJP2は他のMRJPファミリー分子と同様に、黄蜂の卵黄タンパク質(ビテロジェニン)との進化的な類縁性が指摘されている。1
これは昆虫の進化の過程において、栄養物質の輸送や貯蔵に関与する ancestral protein (祖先タンパク質)が遺伝子重複を経て、社会性昆虫特有のカースト分化を支える分泌タンパク質へと適応進化を遂げた例として、分子進化生物学の分野で注目を集めている。2
生化学的な性質として、MRJP2をはじめとするMRJP群は糖鎖が付加された糖タンパク質であり、比較的安定した構造を持っている。1
この構造的安定性により、ローヤルゼリーが巣の内部という過酷な環境に置かれた際にも、タンパク質としての機能や栄養機能が損なわれにくくなっている。2
また、アレルギー学や免疫学の領域においては、MRJP2はヒトに対するアレルゲンの一つとしても研究対象となっている。1
ローヤルゼリーの摂取に伴うアレルギー反応や過敏症を引き起こす原因物質(アレルゲン)の一つとして、MRJP2などの主要ロイヤルゼリータンパク質が関与していることが臨床免疫学的解析により示されている。1
このように、MRJP2はミツバチの生理学および社会性行動の維持に不可欠であると同時に、食品衛生学や医学の分野でも解析が進められている生体高分子である。2