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HEALTH WORDS / 用語解説

RFTSドメイン

RFTSドメインとは、タンパク質の構造および機能領域の一つであり、主にDNAメチル化酵素の制御や細胞周期の調節に関与する保存されたアミノ酸配列領域である1。 RFTSは「Replication Foci Targeting Sequence」の略称であり、DNA複製部位(レプリケーション・フォーカス)へタンパク質を局在させる機能を持つことに由来している2。

哺乳類におけるDNAメチル化酵素であるDNMT1(DNA (cytosine-5)-methyltransferase 1)のN末端側には、このRFTSドメインが存在している3。 DNMT1は維持メチル化を担う主要な酵素であり、細胞分裂の際にDNAのヘミメチル化状態を認識して新しいDNA鎖へとメチル基を正確に引き継ぐ役割を持っている3。 このDNMT1の働きにおいて、RFTSドメインは酵素の活性制御や他の分子との相互作用において極めて重要な役割を果たしていることが生化学的解析により明らかにされている4。

構造生物学的な研究によると、RFTSドメインは特異的な三次元構造を形成し、DNMT1の触媒ドメインやシステインリッチドメインといった他の領域と密接に相互作用している4。 通常の状態では、RFTSドメインはDNMT1の活性中心付近に位置することで酵素活性を自己阻害的に抑制していると考えられている4。 しかし、ヘミメチル化DNAやユビキチン化されたヒストンなどの特定のクロマチンシグナルが認識されると、RFTSドメインの位置や構造が変化し、DNMT1がDNAに対して活性を発揮できるようになるとされている5。

また、RFTSドメインはUHRF1(Ubiquitin-like with PHD and ring finger domains 1)などのタンパク質との結合にも深く関与している5。 UHRF1はヘミメチル化DNAに結合してヒストンH3をユビキチン化する因子であり、このユビキチン化されたヒストンをDNMT1のRFTSドメインが認識してDNA複製部位へとリクルートされる仕組みが構築されている5。 このように、RFTSドメインはエピジェネティクス情報の維持メカニズムにおいて、シグナル伝達と酵素活性のスイッチとして機能する中核的な領域である3。

医学および分子生物学の分野において、RFTSドメインを含むDNMT1の変異や機能異常は、DNAメチル化パターンの異常を引き起こすことが知られている4。 DNAメチル化の異常は遺伝子発現の調節不全を招き、さまざまな疾患、特にがんの発生や進行、あるいは遺伝性の神経変性疾患などとの関連性が指摘されている4。 そのため、RFTSドメインとリガンドや他のタンパク質との結合様式を標的とした分子標的薬の開発や、エピゲノム創薬における研究対象としても大きな注目を集めている5。

参考文献・出典

  1. UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P26358/entry ↩
  2. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11739744/ ↩
  3. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19424209/ ↩1 ↩2 ↩3
  4. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21220124/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  5. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23756372/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4