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HEALTH WORDS / 用語解説

トランスケトラーゼ

Transketolase

トランスケトラーゼとは、ペントースリン酸経路においてケトースのケト基をアルドースへ転移する反応を触媒する酵素である。1

本酵素は補酵素としてチアミンピロリン酸(ビタミンB1誘導体)およびマグネシウムイオンを必要とする。2

ペントースリン酸経路の非酸化的相において、キシルロース-5-リン酸からリボース-5-リン酸またはエリトロース-4-リン酸への2炭素単位の転移を仲介する。3

さらに、糖代謝の主要な回路である解糖系とペントースリン酸経路をつなぐ重要な代謝経路の架け橋としても機能している。4

ヒトの体内においては、肝臓や赤血球をはじめとする多様な組織に広く存在し、核酸合成のためのリボース供給や、抗酸化作用を持つNADPHの産生を維持する上で不可欠な役割を担っている。3

臨床医学および栄養学の分野において、赤血球内のトランスケトラーゼ活性を測定することは、ビタミンB1(チアミン)の栄養状態を評価するための確実な生化学検査として広く利用されている。5

ビタミンB1が欠乏する状態においては、本酵素の活性が著しく低下するため、ウェルニッケ脳症や脚気などの疾患の診断における重要な指標となる。6

近年のがん研究や腫瘍生物学においては、がん細胞が急速な増殖を行うための代謝リプログラミングの一環として、トランスケトラーゼが関与するペントースリン酸経路が亢進していることが報告されている。7

このような代謝的特徴を利用して、トランスケトラーゼの阻害剤を用いた抗腫瘍薬の開発や、がんの新たな治療戦略に関する基礎研究が世界各地で進められている。8

参考文献・出典

  1. 生化学辞典 第4版: https://kotobank.jp/word/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BC-1077583 ↩
  2. American Society for Biochemistry and Molecular Biology: https://www.jbc.org/article/S0021-9258(18)64789-2/pdf ↩
  3. Medical Subject Headings: https://meshb.nlm.nih.gov/record/ui?ui=D014163 ↩1 ↩2
  4. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/7086 ↩
  5. 国立健康・栄養研究所: https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail51.html ↩
  6. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/11-栄養障害/栄養失調/ビタミンb1欠乏症 ↩
  7. PubMed Central: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4328659/ ↩
  8. PubMed Central: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6096535/ ↩