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HEALTH WORDS / 用語解説

ネクチン-4

ネクチン-4とは、細胞接着分子であるネクチンファミリーに属する1回膜貫通型の糖蛋白であり、免疫組織化学において特定の腫瘍を検出するためのバイオマーカーとして臨床的に利用される分子である。1

ネクチンファミリーは細胞間接着の形成や細胞の遊走、増殖などの多様な細胞生物学的プロセスにおいて中心的な役割を果たしているタンパク質群である。2

ネクチン-4は、正常な成人組織においては胎児期を除いて発現が非常に限定されているか、あるいはほとんど検出されない特徴を持っている。2

一方で、乳がんや尿路上皮がんなどの様々な悪性腫瘍において、ネクチン-4はしばしば異常な過剰発現を示すことが知られている。1

このような腫瘍特異的または癌組織における高発現の性質から、ネクチン-4は分子標的薬の標的分子としても非常に重要な位置を占めるようになっている。1

特に、抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる医薬品の抗体部分が結合する標的として、ネクチン-4を認識する薬剤が臨床開発され、実際のがん治療の現場に応用されている。1

抗体薬物複合体は、腫瘍細胞の表面に発現しているネクチン-4に抗体が特異的に結合した後、細胞内へと取り込まれる機序を持つ。1

細胞内に取り込まれた薬剤は、結合しているペイロードと呼ばれる細胞毒性を有する低分子化合物を遊離させ、腫瘍細胞のDNA合成阻害や微小管阻害などを引き起こすことで細胞死を誘導する。1

この機序により、周囲の正常な組織への毒性を相対的に抑えつつ、ネクチン-4を発現するがん細胞に対して選択的な抗腫瘍効果を発揮することが可能となる。1

また、病理診断の分野においても、ネクチン-4に対する特異抗体を用いた免疫組織化学染色を行うことで、病変の組織学的水準での鑑別診断や診断補助に役立てられている。1

このようにネクチン-4は、基礎医学における細胞接着機構の解明だけでなく、腫瘍学や臨床薬理学の領域における診断および治療の両面において極めて有用な標的として、継続的な研究と臨床応用が進められている。2

参考文献・出典

  1. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultPDF/400234_4231405F1020_1_02 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. 国立情報学研究所 CiNii Research: https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001205391697920 ↩1 ↩2 ↩3