ホームヒドロキニジン

HEALTH WORDS / 用語解説

ヒドロキニジン

ヒドロキニジンとは、キニジンの水素化物であり、主として不整脈の治療に用いられる抗不整脈薬の一種である。1 キナ属の植物樹皮に含まれるアルカロイドであり、化学的にはキニンやキニジンと非常に近い構造を有している。2

薬理学的には、心臓の細胞膜にあるナトリウムチャネルを抑制することで活動電位の立ち上がり速度を低下させ、不応期を延長させる作用を持つ。2 この作用機序により、心房細動や心房粗動などの上室性不整脈、あるいは心室性不整脈に対する抗不整脈作用を発揮する。1 欧州などの一部の国においては、医薬品として承認されており、経口投与可能な錠剤などの剤形として臨床現場で利用されてきた歴史がある。2

一方で、本剤の使用にあたっては様々な副作用や禁忌に十分な注意が必要である。 代表的な副作用として、心電図上のQT間隔の延長や房室ブロック、さらにはトルネード・ド・ポアンツ(Torsades de pointes)と呼ばれる重篤な心室性不整脈を誘発するリスクが挙げられる。1 また、過剰摂取や中毒症状として、耳鳴り、難聴、視覚障害、頭痛、めまいなどを特徴とするシンコニズムと呼ばれる一連の症状を引き起こすことが知られている。1

体内における代謝においては、主に肝臓の薬物代謝酵素であるCYP3A4によって酸化などの代謝を受け、その後腎臓を介して排泄される。1 そのため、同一の酵素を阻害または誘導する他の薬剤と併用する際には、血中濃度が変動して毒性が強まるおそれがあるため、薬物相互作用に対する厳重な管理が求められる。2 このように、ヒドロキニジンは心血管系疾患の治療において一定の有用性を持つ一方で、狭い治療薬物モニタリングの範囲と重大な心毒性を伴うため、医師の指導のもとで慎重に取り扱われるべき重要な生理活性物質である。1

参考文献・出典

  1. PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Hydroquinidine ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. KEGG DRUG: https://www.kegg.jp/entry/D07212 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4