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HEALTH WORDS / 用語解説

プレボテラ

プレボテラとは、ヒトなどの腸内細菌叢や口腔内、膣内などの粘膜に多く常在するグラム陰性菌の属であり、バクテロイデス門に分類される偏性嫌気性菌の1つである1。

プレボテラ属の細菌は、かつてはバクテロイデス属に含まれていたが、16S rRNA遺伝子の解析結果などに基づいて分離・再分類された歴史を持つ菌である2。

ヒトの腸内における腸内細菌叢の構成は、個人の食事習慣やライフスタイルによって大きく異なり、腸内環境を分類する指標の1つとしてエンテロタイプという概念が提唱されている3。

このエンテロタイプの分類において、プレボテラ属が優勢に存在するグループ(エンテロタイプ2)は、食物繊維や炭水化物を豊富に摂取する植物性食品中心の食生活を送る人々に多く見られることが知られている4。

これに対して、動物性脂肪やタンパク質を多く摂取する欧米型の食生活を送る人々では、バクテロイデス属が優勢になる傾向が観察されている4。

プレボテラ属の菌は食物繊維などの多糖類を分解して短鎖脂肪酸を産生する能力を持っており、これは宿主のエネルギー代謝や免疫系の調節において重要な役割を果たしている代謝物である3。

一方で、プレボテラ属の特定の種や株の異常な増殖は、宿主との相互作用を通じて様々な疾患の病態に関与している可能性も指摘されている2。

例えば、口腔内においてプレボテラ属の細菌は歯周病などの炎症性疾患に関与することが知られており、歯肉の炎症部位から高頻度に検出される日和見感染の原因菌の1つとしても注目されている5。

また、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患患者の腸内や口腔内において、特定のプレボテラ属細菌が優勢に存在していることが臨床研究などで報告されており、免疫応答への影響や慢性炎症との関連について研究が進められている1。

このように、プレボテラは宿主の食生活や健康状態、疾病の発症リスクと密接に関連している微生物であり、プロバイオティクスやプレバイオティクスを用いた腸内環境の制御や栄養学の分野において重要な研究対象となっている4。

参考文献・出典

  1. 独立行政法人製品評価技術基盤機構: https://www.nite.go.jp/nbrc/genome/j果/genome/00103.html ↩1 ↩2
  2. 日本細菌学雑誌: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsach/57/3/57_3_357/_article/-char/ja/ ↩1 ↩2
  3. 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/attach/pdf/index-31.pdf ↩1 ↩2
  4. 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所: https://www.nibiohn.go.jp/eiken/hotnews/detail/id381.html ↩1 ↩2 ↩3
  5. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2281-idwr/related-articles/7594-dj7144.html ↩