HEALTH WORDS / 用語解説
ペプシノゲンⅡ
Pepsinogen II
ペプシノゲンⅡとは、胃の粘膜から分泌されるタンパク質分解酵素の前駆体であるペプシノゲンのアイソザイム(同位酵素)の一つであり、胃酸を分泌する胃底腺の主細胞や副細胞だけでなく、幽門腺やブルンネル腺など広範囲な消化管粘膜からも産生される物質である。1 血中へと移行するペプシノゲンⅡの濃度を測定することは、胃の粘膜における萎縮の程度や炎症の状態を評価する上で重要な指標となる。2
ペプシノゲンは主細胞などから分泌された後、胃酸の作用によってペプシンへと変換され、食物中のタンパク質を分解する消化作用を担う中心的な役割を果たしている。3 その大部分は胃液中に分泌されて消化管の下部へと流れていくが、その一部は胃粘膜の毛細血管を通じて血液中へと移行する特性を持っている。4 ペプシノゲンには電気泳動的な移動度や免疫学的特徴の違いに基づいてペプシノゲンⅠとペプシノゲンⅡの2つの主要な分画が存在しており、それぞれ分泌される部位や細胞の種類に違いがあることが医学的に知られている。5
ペプシノゲンⅡを測定する意義の一つとして、胃の健康状態や病変のリスクを非侵襲的に検査できる血清ペプシノゲン検査(ABC検診など)への応用が挙げられる。6 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染や加齢などに伴って胃粘膜に萎縮性胃炎が進行すると、ペプシノゲンⅠを分泌する胃底腺の細胞が減少するため血中のペプシノゲンⅠ濃度やペプシノゲンⅠとⅡの比率(PGI/PGII比)が低下する傾向を示す。7 一方で、ペプシノゲンⅡの血中濃度は胃炎の活動性や炎症の程度を反映して上昇しやすい性質があるため、胃粘膜の炎症や萎縮の進展度を多角的に評価する上で臨床的価値が高いとされている。7
臨床検査としてのペプシノゲンⅡの測定値は、単独の数値だけでなくペプシノゲンⅠとの比率と組み合わせて総合的に解釈されることが一般的である。1 健康診断や人間ドックなどの現場において、胃癌の高リスク群をスクリーニングするための有効な手段として広く利用されている。6 ただし、ペプシノゲンⅡの値は腎機能の障害や薬剤の影響、さらには胃酸分泌抑制薬の使用などによっても変動することがあるため、検査結果の詳細な解釈にあたっては専門医による診断や内視鏡検査などの精密検査を併用することが推奨されている。3
参考文献・出典
- 医療情報データベース: https://www.j-mef.or.jp/ ↩1 ↩2
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/ ↩
- J-GLOBAL: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2
- CiNii Research: https://ci.nii.ac.jp/ ↩
- 医中誌Web: https://www.jamas.or.jp/ ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/ ↩1 ↩2
- 国立がん研究センター: https://www.ncc.go.jp/ ↩1 ↩2