HEALTH WORDS / 用語解説
ホモシスチン尿症
Homocystinuria
ホモシスチン尿症とは、アミノ酸の一種であるメチオニンの代謝異常によって生じる遺伝性の先天代謝異常症である。1
本症は、タンパク質の代謝経路においてメチオニンからシステインへ変換される過程の酵素に異常が生じることで発症する。2
その結果、体内にメチオニンやその中間代謝産物であるホモシスチンが異常に蓄積し、血液や尿中に排泄されるようになる。1
原因となる酵素の欠損や変異にはいくつかの種類が存在し、中でも最も多いのはシスタチオニンβ合成酵素の遺伝子異常に基づくタイプである。2
その他の原因として、ビタミンB12や葉酸の代謝に関与する酵素の異常によってホモシスチンの代謝が障害される場合もある。1
遺伝形式としては、いずれのタイプも常染色体劣性遺伝(常染色体潜性遺伝)形式をとる。2
臨床的な症状は多岐にわたり、眼、骨格、中枢神経系、血管系などの複数の臓器に障害が引き起こされる。1
眼の症状としては、水晶体脱臼や近視、緑内障などが高率に出現する。2
骨格系では、マルファン症候群に類似した高身長、細長い四肢、クモ状指、脊柱側弯、骨粗鬆症などが認められる。1
中枢神経系においては、発達遅延、知的障害、精神疾患、痙攣発作などが生じる場合がある。2
さらに、血管の内皮細胞が障害されやすくなるため、若年期から血栓症や脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害を引き起こすリスクが高まる点が特徴である。1
診断にあたっては、血中のメチオニン濃度やホモシスチン濃度の測定、尿中アミノ酸分析が行われる。2
また、近年では新生児マススクリーニングの対象疾患に含まれている場合もあり、早期発見と早期の治療開始が予後の改善に極めて重要である。1
治療法としては、食事療法による低メチオニン食および低タンパク食の導入が基本となる。2
加えて、不足する栄養素の補給や代謝を補助する目的で、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ベタインなどの薬物療法が併用されることがある。1