HEALTH WORDS / 用語解説
ミトコンドリアDNAポリメラーゼ
Mitochondrial DNA Polymerase
ミトコンドリアDNAポリメラーゼとは、真核生物のミトコンドリアに存在するDNAポリメラーゼであり、ミトコンドリアDNAの複製および修復を担う主要な酵素である。1
哺乳類のミトコンドリアDNAポリメラーゼは、DNAポリメラーゼγ(ガンマ)とも称される。1
この酵素は、核内のDNA複製を担うDNAポリメラーゼとは異なり、ミトコンドリアという独自の区画内で特異的に機能する。1
構造的特徴として、ミトコンドリアDNAポリメラーゼは触媒サブユニットとアクセサリサブユニットから構成される複合体として存在する。2
触媒サブユニットはDNA合成を行うポリメラーゼ活性だけでなく、複製時の誤りを修正するための3'-5'エキソヌクレアーゼ活性も併せ持っており、これによりミトコンドリアDNAの遺伝情報の正確性を維持している。1
ミトコンドリアDNAは活性酸素種が高濃度で産生される細胞内器官に存在しているため、DNA損傷を受けやすい環境にある。1
そのため、ミトコンドリアDNAポリメラーゼによる正確な複製および修復機構は、細胞のエネルギー代謝や寿命の維持において極めて重要な役割を果たしている。1
ヒトにおいて、このミトコンドリアDNAポリメラーゼをコードする遺伝子の変異は、ミトコンドリア病をはじめとする多様な疾患の原因となることが知られている。2
具体的には、遺伝子変異によって酵素の活性が低下すると、ミトコンドリアDNAの欠失や枯渇が引き起こされ、神経変性疾患や筋障害など重篤な臨床症状を呈する場合がある。2