HEALTH WORDS / 用語解説
メトヘモグロビン還元酵素
Methemoglobin reductase
メトヘモグロビン還元酵素とは、ヘモグロビン中の鉄が酸化された状態であるメトヘモグロビンを、通常の酸素運搬能力を持つ元のヘモグロビンへと還元する酵素の総称である。1
血液中のヘモグロビンは、常に酸素と結合・解離を繰り返す過程や、体内の酸化ストレスにさらされることで、鉄イオンが2価(還元型)から3価(酸化型)へと変化しやすい環境にある。2
3価の鉄となったメトヘモグロビンは酸素を結合することができなくなるため、このままでは生体組織への酸素供給に支障を来すこととなる。2
そのため、赤血球内にはメトヘモグロビンを速やかに還元してヘモグロビンに戻す生体防御機構が備わっており、その中心的な役割を担うのが本酵素である。1
メトヘモグロビン還元酵素による還元経路には、主にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を補酵素とするNADH-シトクロムb5還元酵素系が関与している。2
この主たる酵素系では、NADHからシトクロムb5を経てメトヘモグロビンへと電子が伝達されることで、鉄イオンが再び2価へと還元される仕組みになっている。1
また、これに付随する補助的な経路として、NADPHを補酵素とするNADPH-メトヘモグロビン還元酵素系も存在するが、通常の生理的条件下における貢献度はNADH系と比較して低いとされている。1
ヒトの体内では、この酵素の働きによって血液中のメトヘモグロビン濃度が通常はごく低い割合、おおむね全ヘモグロビンの1パーセント程度に保たれている。2
しかしながら、先天的な遺伝子変異によって本酵素の活性が低下あるいは欠損している場合や、特定の化学物質や医薬品などの酸化ストレス物質に曝露された場合には、還元速度が酸化速度に追いつかなくなる。2
その結果、体内でメトヘモグロビンが異常に蓄積し、チアノーゼなどの臨床症状を特徴とするメトヘモグロビン血症を発症することが知られている。2