ホームリンパ組織常在樹状細胞

HEALTH WORDS / 用語解説

リンパ組織常在樹状細胞

リンパ組織常在樹状細胞とは、胸腺、脾臓、リンパ節などの二次リンパ組織に常時存在し、免疫応答の開始や免疫寛容の誘導において中心的な役割を果たす樹状細胞の総称である。12

樹状細胞は、生体内に侵入した病原体や異物由来の抗原を捕捉してT細胞などのナイーブT細胞に提示する抗原提示細胞として機能する。その中でもリンパ組織常在樹状細胞は、末梢組織から抗原を運搬してくる遊走性樹状細胞とは異なり、血液中からリンパ組織内へと直接遊走して定着する特性を持つ。これらは免疫組織の内部において自己抗原や外来抗原を効率的に取り込み、免疫システムの監視と調節を常時行っている。12

ヒトやマウスなどの哺乳類において、リンパ組織常在樹状細胞は表面抗原の発現様式や細胞の由来、局在する微小環境に基づいていくつかのサブセットに分類される。代表的なものとして、マウスの脾臓におけるCD8陽性樹状細胞やCD4陽性樹状細胞などが知られており、ヒトにおける対応するサブセットについても詳細な解析が進められている。これらのサブセットはそれぞれ異なるT細胞に対する抗原提示経路を利用し、細胞傷害性T細胞やヘルパーT細胞を特異的に活性化する能力を備えている。12

また、リンパ組織常在樹状細胞は、強力な免疫応答の引き金となるだけでなく、自己免疫疾患の発症を防ぐための免疫寛容の維持にも深く関与している。二次リンパ組織の内部で自己抗原を提示することにより、自己反応性のT細胞をアポトーシスへ誘導したり、制御性T細胞を誘導したりすることで、過剰な免疫反応や自家免疫を未然に抑制する働きを持つ。このように、リンパ組織常在樹状細胞は免疫の活性化と抑制のバランスを精密に制御する極めて重要な免疫系の構成要素である。12

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 国立情報学研究所 CiNii Research: https://ci.nii.ac.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4