HEALTH WORDS / 用語解説
レセプターチロシンキナーゼ
Receptor Tyrosine Kinase
レセプターチロシンキナーゼ(RTK)とは、細胞膜を貫通する構造を持ち、リガンドの結合によってチロシンキナーゼ活性化を引き起こす受容体の一群である。1
レセプターチロシンキナーゼは、細胞増殖因子やホルモン、サイトカインなどの多様なシグナル伝達分子をリガンドとして特異的に結合する。2
その分子構造は一般的に、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、そして細胞内ドメインの3つの主要な領域に大別される。1
細胞外ドメインはリガンドと結合する部位であり、細胞内ドメインにはチロシンキナーゼとしての酵素活性領域が存在する。2
リガンドが細胞外ドメインに結合すると、受容体の二量体化あるいは高次オリゴマー化が誘導される。1
この二量体化に伴い、細胞内ドメインに存在するチロシンキナーゼが相互にリン酸化を行う自己リン酸化(トランスリン酸化)が引き起こされる。2
自己リン酸化によって形成されたリン酸化チロシン残基は、特定のSH2ドメインやPTBドメインを持つ下流のシグナル伝達分子に対する特異的な結合部位として機能する。2
これにより、RAS-MAPK経路、PI3K-AKT経路、JAK-STAT経路など、細胞の生存、増殖、分化、代謝を制御する主要なシグナル伝達カスケードが活性化される。2
哺乳類においては、インスリン受容体や上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)など、多くのファミリーに分類される多数のレセプターチロシンキナーゼが同定されている。1
これらの受容体を介したシグナル伝達の異常や遺伝子変異、過剰な活性化は、がんをはじめとする様々な疾患の発症や進展に深く関与していることが知られている。1
そのため、レセプターチロシンキナーゼの活性を阻害する分子標的薬やチロシンキナーゼ阻害薬の開発が進められており、がん治療における重要な治療標的となっている。1