HEALTH WORDS / 用語解説
中温菌
Mesophile
中温菌とは、主として人間や温血動物の体温付近である20℃から45℃程度の温度帯で最もよく生育する微生物(細菌、真菌など)の総称である。1
地球上の自然環境において、中温菌は土壌や水圏など、人間の生活圏や温帯の環境に最も広く分布している生物群の一つである。2
多くの病原菌や腸内細菌などの共生細菌は中温菌に分類され、宿主の体温環境に適応した代謝システムを有している。3
産業利用の分野においては、発酵食品の製造に関与する乳酸菌や酵母などの多くが中温菌であり、酒類、味噌、醤油、パンなどの発酵工程において中心的な役割を果たしている。4
また、下水の生物処理や堆肥化(コンポスト)の初期段階においても、中温菌は有機物の分解や物質循環を担う重要な役割を果たす。5
温度に対する生理学的特性として、中温菌は至適温度範囲を外れると酵素の活性が低下し、極端な低温では代謝が停止し、高温ではタンパク質の変性や細胞膜の機能障害を引き起こして死滅する。6
このように、極限環境微生物である好冷菌や好熱菌と比較して、中温菌は地球上の一般的な気候環境や生物の体内環境に最も最適化された生理機能を持つ分類群として位置づけられている。7
参考文献・出典
- 微生物学用語辞典: https://www.jsm.or.jp/nc/ ↩
- 生物資源ゲノムデータベース: https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/sup/database.html ↩
- 医学・生物学大辞典: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩
- 独立行政法人酒類総合研究所: https://www.nta.go.jp/nal/ ↩
- 国立環境研究所データベース: https://www.nies.go.jp/index.html ↩
- 日本生化学会生化学辞典: https://seikagaku.jbsoc.or.jp/ ↩
- 日本微生物生態学会誌: https://www.jsme-web.org/ ↩