HEALTH WORDS / 用語解説
EPHA2
EPH receptor A2
EPHA2とは、受容体型チロシンキナーゼのエフリン受容体ファミリーに属するタンパク質であり、ヒトではEPHA2遺伝子にコードされている分子である。1
EPHA2受容体は、細胞膜に存在してリガンドであるエフリン(Ephrin)ファミリーと結合することにより、細胞間の情報伝達や接着、細胞骨格の制御など多様な細胞生物学的プロセスに関与している。2
正常な組織においては、EPHA2は上皮細胞の単層構造の維持や細胞の移動の制御において重要な役割を果たしており、組織の恒常性維持に寄与している。3
一方で、近年の癌研究においては、多くのヒト悪性腫瘍、例えば乳癌、前立腺癌、肺癌、悪性黒色腫などの腫瘍細胞においてEPHA2の発現がしばしば亢進していることが明らかにされている。3
腫瘍組織におけるEPHA2の過剰発現は、癌細胞の増殖、浸潤、および転移能の促進と深く相関していることが多く、予後不良のバイオマーカーとしての側面も持っている。2
このような背景から、EPHA2は癌治療における有望な分子標的薬のターゲットとして注目されており、モノクローナル抗体や低分子化合物、抗体薬物複合体(ADC)を用いた臨床試験や前臨床試験が精力的に進められている。3
さらに、EPHA2のシグナル伝達経路の異常は癌だけでなく、一部の眼疾患、例えば白内障の原因遺伝子変異としても関連付けられており、発生生物学や眼科学の領域においても重要な研究対象となっている。2
参考文献・出典
- Genatlas: https://genatlas.medecine.univ-paris5.fr/fiche?input=EPHA2 ↩
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P29317/entry ↩1 ↩2 ↩3
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1969 ↩1 ↩2 ↩3