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HEALTH WORDS / 用語解説

単包条虫

単包条虫とは、イヌ科動物を終宿主とし、ヒトを含む哺乳類を中間宿主とする条虫綱の一種である。1

学名を*Echinococcus granulosus*といい、成虫は体長数ミリメートルから数センチメートル程度で、イヌやオオカミなどの小腸に寄生する。2

単包条虫の生活環は、終宿主と中間宿主の間で循環する複雑な経路をとっている。1

終宿主の糞便とともに排泄された虫卵は環境中に放出され、ヒツジ、ウマ、シカなどの草食獣やヒトが経口感染することにより中間宿主となる。2

ヒトが虫卵を経口摂取すると、胃液や腸液の作用によって卵殻が消化され、中から六鉤幼虫が孵化する。1

孵化した六鉤幼虫は腸管の粘膜から血管やリンパ管に入り込み、血流に乗って肝臓や肺などの臓器へと運ばれる。2

臓器に定着した幼虫は、数年という長い年月をかけて「単包包虫」と呼ばれる包嚢を形成して成長する。1

この包嚢の内部には多くの原頭節が作られ、これが終宿主であるイヌ科動物に摂食されることで成虫へと発育し、再び生活環が維持される。2

ヒトが中間宿主として感染した場合に引き起こされる疾患を単包包虫症(単包条虫症)と呼ぶ。1

単包包虫症の潜伏期間は非常に長く、数年から数十年に及ぶことが一般的である。2

初期の段階では自覚症状がほとんど現れないが、包嚢が肝臓などの臓器内で徐々に増大するにつれて、右上腹部痛、肝腫大、黄疸、圧迫感などの臨床症状が現れるようになる。1

包嚢が破裂すると、アナフィラキシーショックなどの重篤なアレルギー反応を引き起こす危険性があるほか、腹腔内などに幼虫が播種して病変が拡大することもある。2

単包条虫による感染の診断には、超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像診断が重要な役割を果たしている。1

また、補助診断として血清学検査による抗体の検出が行われることもある。2

治療法としては、包嚢の外科的切除が最も確実な根治手段とされるが、患者の全身状態や病変の部位および進行度に応じて、薬物療法が選択される場合もある。1

単包条虫の分布は世界中に見られ、特にヒツジなどの家畜を飼育する牧畜地帯において高頻度で流行している。2

予防の基本は、イヌ科動物を介した感染経路を断つことであり、放し飼いの制限や、イヌへの定期的な駆虫薬の投与、そしてヒトにおける手洗いの徹底や飲用水・食品の適切な衛生管理が必要とされる。1

参考文献・出典

  1. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/b/shikken/qa/qa15.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/411-echinococcus-intro.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8