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HEALTH WORDS / 用語解説

定型抗精神病薬

定型抗精神病薬とは、統合失調症などの精神疾患の治療に用いられる従来型の抗精神病薬であり、主として脳内のドーパミンD2受容体を遮断することで幻覚や妄想などの陽性症状を改善する薬剤である。12

定型抗精神病薬は、1950年代初頭にクロルプロマジンが発見されて以降、精神科医療の歴史において中心的な役割を果たしてきた薬剤群である。化学構造上の特徴から、フェノチアジン系、ブチロフェノン系、ベンズアミド系などに大別される。これらの薬剤は、中脳辺縁系におけるドーパミン過剰活動を強力に抑えることで高い抗精神病作用を示す一方、中枢神経系だけでなく末梢神経系の受容体にも非特異的に作用するため、錐体外路症状をはじめとする多様な副作用を高頻度で引き起こす特性を持つ。12

薬理学的な作用機序としては、主たる標的であるドーパミンD2受容体のほか、ムスカリン受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1受容体などに対しても拮抗作用を示す。このため、抗精神病効果の現れる一方で、口渇、便秘、尿閉といった抗コリン作用や、鎮静作用、起立性低血圧などの副作用が臨床上問題となりやすい。また、長期投与により遅発性ジスキネジアなどの不随意運動が発現する場合があり、患者のQOL(生活の質)に大きな影響を与えることがある。12

その後、1990年代以降になると、D2受容体に加えてセロトニン5-HT2受容体をも遮断する非定型抗精神病薬(セロトニン・ドーパミン受容体拮抗薬など)が開発され、臨床現場の主流となった。非定型抗精神病薬と比較した場合、定型抗精神病薬は錐体外路症状の出現率が高いという欠点があるものの、強力な鎮静作用を持つ点や、長年にわたる豊富な臨床使用実績がある点、また剤型によっては安価である点などの理由から、現在でも選択肢の一つとして使用されている。薬物療法の選択においては、患者の症状特性や副作用のリスクを十分に評価し、個別の病態に応じた慎重な投与量や薬剤の選定が求められる。12

参考文献・出典

  1. 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/psychiatry/ys-067.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 国立精神・神経医療研究センター: https://www.ncnp.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4