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HEALTH WORDS / 用語解説

疾患病態

Pathology and Pathophysiology

疾患病態とは、生体が疾病に罹患した際に見られる病気の原因、発症機序、および身体に生じる構造的・機能的変化の総体を指す医学・生物学上の概念である。1 医学および生物学の領域において、疾患病態の解明は臨床医学の基礎をなす極めて重要な研究分野であり、病理学や病態生理学といった学問体系によって体系的に解析されている。2

疾患病態の理解には、細胞レベルや分子レベルでの異常から、組織や器官ひいては個体全体におよぶ生体反応の追究が含まれる。3 疾病が引き起こされる契機となる原因には、遺伝子的要因、環境的要因、感染症をもたらす病原体、免疫系の異常など多様な要素が存在する。4 これらの原因が生体に作用すると、通常の恒常性(ホメオスタシス)が破綻し、特異的な症状や徴候が出現するプロセスが引き起こされる。5

病理学的アプローチでは、病変部における組織の形態学的変化を顕微鏡等を用いて観察し、炎症、変性、壊死、腫瘍形成といった病理変化の本質を明らかにする。6 一方、病態生理学的アプローチでは、器官や細胞の機能がどのように障害され、生体の代謝や循環などの生理的機能にどのような変調をきたしているのかを動的に解析する。7 例えば、循環器疾患における心筋梗塞の病態では、冠動脈の閉塞に起因する虚血状態が心筋細胞の代謝障害と壊死を誘発し、最終的に心機能の著しい低下をもたらすという一連の病態生理学的機序が確認されている。8

また、悪性腫瘍(がん)の疾患病態においては、遺伝子変異の蓄積によって細胞の無秩序な増殖や浸潤、転移が生じるメカニズムが詳細に研究されている。9 免疫系の異常が関与する疾患では、自己免疫疾患における自己抗体の産生や慢性炎症の持続が、特定の組織や関節に破壊的な病変を形成する病態が明らかにされている。10

このように、個々の疾患における特有の病態を分子・細胞・器官の各階層で総合的に把握することは、正確な診断基準の確立、適切な治療薬や治療法の選択、さらには新規医薬品の開発において不可欠な基盤となっている。11

参考文献・出典

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル ↩
  2. 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/ja/index.html ↩
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/ ↩
  4. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ ↩
  5. 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/ ↩
  6. 日本病理学会: https://pathology.or.jp/ ↩
  7. 日本生理学会: https://www.psj.or.jp/ ↩
  8. 国立循環器病研究センター: https://www.ncvc.go.jp/ ↩
  9. 国立がん研究センター: https://www.ncc.go.jp/jp/index.html ↩
  10. 日本免疫学会: https://www.jsi-meneki.org/ ↩
  11. 日本医学会: https://jams.med.or.jp/ ↩