HEALTH WORDS / 用語解説
酸性抗炎症薬
Acidic anti-inflammatory drugs
酸性抗炎症薬とは、化学構造上あるいは物理化学的性質として酸性を示す非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の総称であり、主に解熱、鎮痛、抗炎症の目的で使用される薬剤である。12
生体内において炎症を引き起こすプロスタグランジンの生合成を担うシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、発痛物質の産生を抑え、優れた鎮痛効果や抗炎症効果を発揮する。31
多くの酸性抗炎症薬は分子内にカルボキシ基やエノール基などの解離基を有しており、弱酸性を示すことから、この名称で分類されている。23
この酸性という物理化学的性質に由来して、これらの薬剤は消化管の粘膜上皮細胞において細胞内に移行しやすい特徴を持っており、しばしば胃粘膜障害などの副作用を引き起こす原因となることが知られている。21
臨床現場においては、関節リウマチや変形性関節症などの慢性疾患における疼痛緩和だけでなく、手術後や外傷後の炎症および疼痛、さらには急性上気道炎に伴う発熱および疼痛の緩解など、幅広い疾患の対症療法として用いられている。23
代表的な薬物としては、サリチル酸系化合物、プロピオン酸系化合物、酢酸系化合物、フェナム酸系化合物、オキシカム系化合物などが挙げられ、それぞれの化学構造や薬物動態の特性に応じて選択・処方される。12
また、酸性抗炎症薬は血中において高い血漿蛋白結合率を示すことが多く、他の蛋白結合性の高い薬剤と併用した場合には、薬物相互作用によって遊離型の薬剤濃度が変動し、思わぬ副作用が増強されるリスクがあるため、投与時には十分な注意が求められる。32
腎血流量の維持に関与するプロスタグランジンの合成を抑制するため、腎機能障害を持つ患者や高齢者に対して使用する場合には、腎機能の悪化や浮腫、高血圧などの腎関連副作用の発現に留意する必要がある。21