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HEALTH WORDS / 用語解説

顔面蒼白

Facial pallor

顔面蒼白とは、顔面の皮膚や粘膜が本来の血色を失い、白っぽく見える状態を指す臨床的所見である。1 医学および生物学の領域においては、皮膚表面を循環する血液量の減少や、血中のヘモグロビン(血色素)量の低下などによって引き起こされる重要な身体的徴候として扱われる。2

顔面蒼白が生じる主な生理学的機序の一つは、自律神経系、特に交感神経の緊張亢進に伴う血管収縮である。3 身体がストレス、恐怖、疼痛、あるいは寒冷などの刺激を受けると、生体は防御反応として皮膚や末梢組織への血流を一時的に減少させ、脳や心臓といった重要臓器へ優先的に血液を供給しようとする。4 この血行動態の変動により、顔面の毛細血管を流れる血液量が減少し、結果として顔面蒼白が引き起こされる。5

もう一つの主要な原因は、血液の質的異常、すなわち貧血に起因するものである。6 赤血球中に含まれるヘモグロビンは酸素を運搬するだけでなく、血液に赤味を与える色素としての役割も担っている。7 何らかの原因によってヘモグロビン濃度が低下する貧血状態になると、皮膚や眼瞼結膜の赤みが失われ、持続的な顔面蒼白として観察されるようになる。8 これには鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、再生不良性貧血など、多様な疾患や病態が関与している。1

さらに、顔面蒼白は循環器系の急激な破綻を示す臨床症状としても極めて重要である。9 大量の出血やショック状態においては、全身の血圧が維持できなくなり、末梢組織への灌流が著しく低下するため、急速に顔面蒼白が現れる。10 このように、顔面蒼白は単なる一時的な皮膚の色調変化にとどまらず、貧血、ショック、循環不全、あるいは自律神経反射など、生体内の異常を察知するための重要な医学的指標となる。5

参考文献・出典

  1. 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩1 ↩2
  2. 標準外科学: https://www.igaku-shoin.co.jp/ ↩
  3. 標準生理学: https://www.igaku-shoin.co.jp/ ↩
  4. 生理学テキスト: https://www.bunku.co.jp/ ↩
  5. 内科学: https://www.bunku.co.jp/ ↩1 ↩2
  6. 今日の治療指針: https://www.igaku-shoin.co.jp/ ↩
  7. 生物学辞典: https://www.tokyo-kagaku-dojin.co.jp/ ↩
  8. 臨床検査データブック: https://www.igaku-shoin.co.jp/ ↩
  9. 救急医学: https://www.ishiyaku.co.jp/ ↩
  10. 救急・集中治療医学: https://www.nakayama-shoten.co.jp/ ↩