HEALTH WORDS / 用語解説
飢餓状態
Starvation
飢餓状態とは、生命維持および身体活動に必要な栄養素およびエネルギーの摂取が、長期間にわたって生体の需要を著しく下回っている病態である。1
ヒトをはじめとする哺乳類において、食物からのエネルギー供給が絶たれた飢餓状態に陥ると、生体は恒常性を維持するために代謝システムを劇的に変化させる。2
初期の段階では、血糖値を維持するために肝臓に蓄えられたグリコーゲンが分解され、グルコースが血液中へ放出される。3
しかし、グリコーゲンの貯蔵量はわずか数時間から一日程度で枯渇するため、その後は糖質以外の物質から糖を産生する糖新生が主要な代謝経路となる。3
糖新生の材料としては、骨格筋などのタンパク質が分解されて生じるアミノ酸や、脂肪組織における中性脂肪の分解から得られるグリセロールが利用される。2
長期間の飢餓状態が継続すると、タンパク質の過度な分解による臓器機能の破綻を防ぐため、生体は適応反応を引き起こす。3
この段階では、脂肪酸から肝臓でケトン体(アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトン)が大量に合成され、脳などの中枢神経系を含む主要な組織の主要なエネルギー源として利用されるようになる。1
ケトン体が脳で利用される割合が増加することにより、タンパク質の分解速度が低下し、生存期間を延長させることが可能となる。3
しかし、脂肪組織のエネルギー貯蔵が完全に枯渇すると、再びタンパク質の急速な分解が始まり、心筋や呼吸筋などの生命維持に不可欠な筋肉までもが消耗していく。2
参考文献・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-066.html ↩1 ↩2 ↩3
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/jp/index.html ↩1 ↩2 ↩3
- J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/nakamuragakuen/46/0/46_113/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4