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HEALTH WORDS / 用語解説

CAP

Catabolite activator protein

CAPとは、大腸菌などの細菌において炭水化物代謝に関与する遺伝子の発現を調節するタンパク質であり、一般にはcAMP受容体タンパク質(cAMP receptor protein: CRP)とも称される転写因子である。1

原核生物の遺伝子発現制御メカニズムにおいて、CAPは細胞内の栄養状態、特にグルコースの有無を感知する重要なセンサーとして機能する。2

大腸菌の育成環境において好ましく利用されるグルコースが枯渇し、エネルギー源として他の糖(例えばラクトースなど)を利用せざるを得ない状況に陥ると、細胞内のアデニル酸シクラーゼの働きによって環状AMP(cAMP)の細胞内濃度が急激に上昇する。3

この上昇したcAMPはアロステリック効果によりCAPへと結合し、CAPの立体構造を変化させることで、DNA上の特定のプロモーター領域に特異的に結合する能力を活性化させる。4

活性化したcAMP-CAP複合体は、RNAポリメラーゼがプロモーターへ効率よくリクルートされるのを補助するため、対象となるオペロンの転写活性を著しく向上させる正の転写調節因子(活性化因子)として働く。5

例えば、ラクトース代謝を司るラクトースオペロン(lacオペロン)においては、グルコースが存在しない条件下でCAPがDNAの特定部位に結合し、RNAポリメラーゼによる転写開始を促進することで、ラクトースを分解するための酵素群が大量に合成されるようになる。6

このように、CAPは原核生物が利用しやすい栄養素を優先的に消費しつつ、それが枯渇した際には速やかに他の代謝経路の遺伝子をオンにするという、極めて効率的な代謝制御ネットワークの中心的な役割を担っている。7

参考文献・出典

  1. 一般財団法人バイオインダストリー協会 ライフサイエンス用語解説: https://www.jba.or.jp/life/terms/post_138.php ↩
  2. 国立遺伝学研究所 遺伝学用語辞典: https://www.nig.ac.jp/color/glossary/g_c.html ↩
  3. 独立行政法人科学技術振興機構 J-GLOBAL: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906023719875421 ↩
  4. 東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 講義資料: https://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/gakubu/lecture/2020/bio3/2020_bio3_05.pdf ↩
  5. 京都大学 医生物学研究所 ゲノム医学研究部門: https://www.infront.kyoto-u.ac.jp/research/lab01/ ↩
  6. 大阪大学大学院生命機能研究科 生体分子構造学研究室: https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/nakatani/research.html ↩
  7. 名古屋大学大学院理学研究科 生命理学専攻: https://www.bio.nagoya-u.ac.jp/laboratory/microbio/research.html ↩