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HEALTH WORDS / 用語解説

CUL3

CUL3(Cullin 3)とは、ユビキチン・プロテアソーム系においてタンパク質の分解を仲介するユビキチンリガーゼ(E3)複合体の主要な足場タンパク質を構成する分子である。1 ヒトではCUL3遺伝子にコードされており、細胞内のタンパク質の代謝やシグナル伝達、細胞周期の制御など、多様な生物学的プロセスの維持に不可欠な役割を果たしている。2

CUL3は、RING指型ドメインを持つRBX1などのタンパク質と結合することで、E3ユビキチンリガーゼ複合体を形成する。3 この複合体において、CUL3は基質特異性アダプターであるBTBドメイン含有タンパク質と結合する特徴を持つ。4 BTBドメインを介して多様な標的タンパク質を捉え、接近させたユビキチン結合酵素からユビキチンを標的タンパク質へと転移させることで、ポリユビキチン化を促進する。5 ポリユビキチン化されたタンパク質はプロテアソームによって認識され、選択的に分解される仕組みになっている。6

生理学的な機能として、CUL3を中心とするユビキチンリガーゼ複合体は、腎臓における血圧調節において重要な役割を担っている。7 特に、遠位腎小管におけるWNKキナーゼの分解制御に関与しており、ナトリウムの再吸収量を調節することで全身の血圧バランスを保っている。8 CUL3の機能に異常が生じると、WNKキナーゼが異常蓄積し、塩分感受性の高血圧を引き起こすことが知られている。9 その代表例として、偽低アルドステロン症II型(Gordon症候群)などの遺伝性高血圧症の発症原因として、CUL3遺伝子のスプライシング異常や変異が深く関与していることが明らかにされている。10

さらに、CUL3は血圧調節機構にとどまらず、神経系の発達や免疫応答、酸化ストレス応答など、幅広い生命現象に関与している。11 Keap1などのBTBドメインアダプターを介してNrf2経路を制御し、細胞内の抗酸化物質の産生を調節する役割も果たしている。12 近年のがん研究においては、CUL3が腫瘍抑制因子として機能する場合や、逆に特定のがん細胞の増殖を支える因子として働く場合が報告されており、新たな創薬標的としても注目を集めている。13

参考文献・出典

  1. NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/8452 ↩
  2. Ensembl: https://www.ensembl.org/Homo_sapiens/Gene/Summary?db=core;g=ENSG00000188906 ↩
  3. UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q13618/entry ↩
  4. Protein Data Bank: https://www.rcsb.org/structure/4APF ↩
  5. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3969192/ ↩
  6. National Library of Medicine: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24653586/ ↩
  7. National Institutes of Health: https://www.nih.gov/news-events/nih-research-matters/how-gene-mutation-causes-high-blood-pressure ↩
  8. JCI Insight: https://insight.jci.org/articles/view/89839 ↩
  9. OMIM: https://www.omim.org/entry/603134 ↩
  10. ClinVar: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/variation/185856/ ↩
  11. Cell Signaling Technology: https://www.cellsignal.com/pathways/cullin-ring-ligases-crls-pathway ↩
  12. Free Radical Biology and Medicine: https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S089158491500123X ↩
  13. The FEBS Journal: https://febs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/febs.15243 ↩