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HEALTH WORDS / 用語解説

MEK2

MEK2とは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2(Mitogen-activated protein kinase kinase 2)の略称であり、細胞内のシグナル伝達経路であるMAPK/ERK経路において中心的な役割を果たすタンパク質キナーゼ(不活性化酵素の一種)である。1 ヒトにおいてはMAP2K2遺伝子によってコードされている。2

MEK2は、セリン・スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼの両方の性質を持つ二重特異性キナーゼとして分類される。1 細胞表面の受容体が成長因子やホルモンなどのリガンドによって刺激されると、そのシグナルはRasなどの低分子G蛋白質を介してRaf(MAPKKK)へと伝達される。3 活性化されたRafは、その下流に位置するMEK1およびMEK2をリン酸化して活性化する。1

活性化したMEK2は、さらにその下流にあるERK(Extracellular signal-regulated kinase)の特定のアミノ酸残基をリン酸化することでこれを活性化する。1 MEK2によって活性化されたERKは、細胞質から核へと移行し、様々な転写因子をリン酸化して遺伝子発現を調節する。3 このMEK1/2-ERKカスケードは、細胞増殖、細胞分化、細胞生存、およびアポトーシスの制御において極めて重要な生物学的プロセスを担っている。1

MEK2を含むMAPK/ERK経路の異常な亢進や変異は、多くのヒト悪性腫瘍(がん)の発症や進展に深く関与していることが知られている。1 特にメラノーマや大腸がんなどの腫瘍においては、B-RafやRasの遺伝子変異により上流のシグナルが常時活性化され、その結果としてMEK2およびERKが持続的に活性化されるケースが多く報告されている。3 そのため、MEK2およびその近縁のMEK1は、抗がん剤開発における主要な分子標的の一つとなっている。1

MEK2の酵素活性を特異的に阻害するMEK阻害薬は、がん治療薬として臨床応用が進められている。1 これらの低分子化合物は、MEK1およびMEK2のアロステリック部位に結合することで活性化ループのリン酸化を防ぎ、ERKへのシグナル伝達を遮断する。1 単独投与あるいは他の分子標的薬(例えばB-Raf阻害薬)との併用療法において、腫瘍増殖を抑制する効果が示されている。3

参考文献・出典

  1. National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5605 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. Ensembl: https://www.ensembl.org/Homo_sapiens/Gene/Summary?g=ENSG00000126934 ↩
  3. KEGG PATHWAY: https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?hsa04010 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4