HEALTH WORDS / 用語解説
PAK
PAK
PAKとは、p21活性化キナーゼ(p21-activated kinase)の総称であり、細胞の骨格形成、細胞運動、細胞増殖、細胞生存などの多様なシグナル伝達経路を制御するセリン・スレオニンキナーゼの一種である1。
PAKファミリーは、その構造的特徴や活性化メカニズムの違いから、大きくグループI(PAK1、PAK2、PAK3)とグループII(PAK4、PAK5、PAK6)の2つのグループに分類される2。
これらは主としてRhoファミリーGTP酵素であるCdc42やRac1などの活性型と結合することによって活性化され、下流の様々なタンパク質をリン酸化することで細胞骨格のダイナミクスを調節する3。
とりわけPAK1をはじめとするグループIの酵素は、アクチン骨格の再編成を促すことで細胞の運動性や遊走を亢進させる働きを持ち、組織の形態形成や創傷治癒などの生理現象において中心的な役割を担っている4。
さらに、PAKは細胞増殖因子受容体からのシグナルやストレス応答経路とも深く関わっており、細胞周期の進行やアポトーシスの抑制といった細胞運命の決定にも寄与することが知られている5。
近年の分子生物学および腫瘍学の研究においては、PAKの遺伝子異常や過剰な活性化が、がん細胞の浸潤、転移、および血管新生などの悪性化プロセスに深く関与していることが明らかにされている6。
特に乳がんや大腸がんをはじめとする多くのヒト悪性腫瘍においてPAKファミリーの発現上昇が認められることから、これらを標的とした分子標的薬の開発や阻害剤のスクリーニングが進められており、がん治療における重要な創薬標的の一つとして期待されている7。
参考文献・出典
- Protein kinase resource: https://www.kegg.jp/entry/hsa:5058 ↩
- KEGG PATHWAY Database: https://www.kegg.jp/pathway/hsa04810 ↩
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5058 ↩
- KEGG DISEASE: https://www.kegg.jp/entry/H00006 ↩
- Protein kinase resource: https://www.kegg.jp/entry/hsa:5062 ↩
- KEGG DISEASE: https://www.kegg.jp/entry/H00012 ↩
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5062 ↩