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HEALTH WORDS / 用語解説

RNAスプライシング

RNAスプライシングとは、真核生物の遺伝子発現過程において、転写されたばかりのプレmRNA(前駆体mRNA)からイントロン(非コード領域)が正確に切除され、エグゾン(コード領域)同士が連続して結合される一連の生化学的反応プロセスである。1 タンパク質をコードする遺伝子の多くは、エグゾンとイントロンが交互に配置された構造をとっており、プレmRNAの段階では遺伝情報が分断されているため、細胞内で翻訳が行われる前にRNAスプライシングによって不要な部分を取り除く必要がある。2 このスプライシング反応は、核内に存在する小型RNAとタンパク質の複合体であるスプライソソームと呼ばれる巨大な分子機械によって触媒される。3 スプライソソームはプレmRNA上の特定の塩基配列、すなわち5'スプライスサイト、3'スプライスサイト、および分岐点配列を高度に認識して結合し、二段階のトランスエステル化反応を仲介することによってイントロンのループ状構造(ラリアット)形成とエグゾンのライゲーションを正確に遂行する。4 ヒトをはじめとする真核生物においては、1つの遺伝子から複数の異なるエグゾンの組み合わせを選択してmRNAを生成する選択的スプライシング(オルタナティブスプライシング)という機構が存在する。5 選択的スプライシングが引き起こされることにより、単一の遺伝子から多様な構造や機能を持つ複数のアイソフォーム(タンパク質多様体)が作り出され、プロテオームの多様性が飛躍的に拡大する。6 この精緻な遺伝子調節機構は、多細胞生物における組織特異的発現や発生・分化の制御、さらには環境応答などの多様な生命現象において極めて重要な役割を担っている。2 一方で、RNAスプライシングを制御するシスエレメントの変異や、スプライソソームの構成タンパク質の異常、あるいはスプライシング因子の機能不全は、正確なスプライスサイトの認識を阻害する原因となる。4 このようなスプライシング異常は、がん細胞における腫瘍関連遺伝子の異常なアイソフォーム発現や、さまざまな遺伝性疾患・神経変性疾患を引き起こすことが広く知られており、近年ではスプライシング制御を標的とした分子標的薬や核酸医薬の開発研究が活発に進められている。2

参考文献・出典

  1. NHGRI: https://www.genome.gov/genetics-glossary/RNA-Splicing ↩
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000672152.pdf ↩1 ↩2 ↩3
  3. NHGRI: https://www.genome.gov/genetics-glossary/Spliceosome ↩
  4. Nature Portfolio: https://www.nature.com/scitable/topicpage/rna-splicing-introns-exons-and-spliceosome-12375/ ↩1 ↩2
  5. NHGRI: https://www.genome.gov/genetics-glossary/Alternative-Splicing ↩
  6. Nature Portfolio: https://www.nature.com/scitable/topicpage/alternative-splicing-14123545 ↩