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HEALTH WORDS / 用語解説

XPB

XPBとは、主としてDNA修復機構であるヌクレオチド除去修復(NER)や転写に関与するヘリカーゼ活性を持つタンパク質、およびそれをコードする遺伝子の名称である1。人間の体においてXPBは、細胞の遺伝子情報が紫外線などの物理的・化学的要因によってDNA損傷を受けた際に、それを正常な状態へと修復するための重要な生体防御システムの一翼を担っている2。

XPBタンパク質は、多量体酵素複合体であるTFIIHの構成サブユニットの一つとして機能している3。TFIIHはRNAポリメラーゼIIによる転写の開始に必須であると同時に、ヌクレオチド除去修復の経路においてはDNAの二重らせん構造を局所的に巻き戻すヘリカーゼとしての役割を果たしている4。XPB自身が持つDNA依存性ATPase活性および3'-5'ヘリカーゼ活性によってDNA鎖がほどかれることで、損傷を受けた塩基を含むDNA断片の切除が可能となる5。

ヒトにおけるXPB遺伝子の変異は、常染色体劣性遺伝形式をとる極めて稀な遺伝性疾患である色素性乾皮症(XP)の「B complementation group」(XP-B)を引き起こすことが知られている6。色素性乾皮症の患者では、日光に含まれる紫外線に対する皮膚の防御・DNA修復能力が著しく低下するため、日光浴の後に強い紅斑や水疱が生じ、将来的に皮膚がんなどの悪性腫瘍が高頻度で発生するようになる7。

さらに、XPB遺伝子の特定の変異は、色素性乾皮症の症状に加えて神経症状やコケイン症候群(CS)といった発達障害や神経変性を伴う複合的な臨床像を呈することがある8。このようにXPBは、単なるDNA修復機能にとどまらず、遺伝子発現の基本単位である転写プロセスの維持を通じた細胞の生存および個体の健康維持に欠かすことのできない分子生物学的基盤を提供している9。

参考文献・出典

  1. NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2071 ↩
  2. UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P19447/entry ↩
  3. Protein Data Bank Japan: https://pdbj.org/mine/summary/5ofv ↩
  4. 岡山大学医学部: https://www.okayama-u.ac.jp/user/med/pathophysio/biochem1/research.html ↩
  5. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I023886738-00 ↩
  6. 遺伝性疾患情報リスト: https://www.orpha.net/consor/cgi-bin/OC_Exp.php?Lng=JA&Expert=82 ↩
  7. 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/558 ↩
  8. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000554477.pdf ↩
  9. 科学技術情報発信・流通総合システム: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902272223849187 ↩