HEALTH WORDS / 用語解説
アカカビ
Fusarium
アカカビとは、不完全菌類に分類される糸状菌(カビ)の一属であるフザリウム属の真菌の総称であり、植物に様々な病害をもたらすとともに、ヒトや家畜に対して有害な代謝産物を産生する生物である。1
フザリウム属に属する糸状菌は世界中の土壌や植物残渣に広く生息しており、自然界においてごく日常的に存在する環境微生物の一つである。1
農業分野においては、麦類の赤かび病をはじめとする主要農作物の重大な植物病原菌として広く知られている。1
感染を受けた作物は生育不良や品質低下を引き起こし、収穫量の減少など食糧生産上の深刻な問題を引き起こすことがある。1
健康被害の観点において最も重大な問題は、一部のアカカビ種が穀物の生育過程や収穫後の貯蔵段階において、マイコトキシンと呼ばれるカビ毒を産生する点にある。2
代表的なマイコトキシンとしては、トリコテセン系毒素であるニバレノールやデオキシニバレノール、そしてゼアラレノンなどが挙げられる。1
これらのカビ毒に汚染された穀物をヒトや家畜が継続的あるいは大量に摂取した場合、急性中毒症状として嘔吐、腹痛、下痢などの消化器系障害を引き起こすことがある。2
また、ゼアラレノンなどは動物体温においてエストロゲン様作用を示すことが知られており、生殖器系の異常やホルモンバランスの乱れをもたらす危険性が指摘されている。1
このような健康被害を未然に防止するため、政府機関や国際機関では食品および飼料中のカビ毒に対する規制値や基準値を設け、流通前における検査や品質管理を徹底している。2
農産物の栽培段階においては、耐病性品種の導入や適切な農薬の散布、輪作の実施など、総合的病害虫管理の観点から様々な防除対策が講じられている。1