ホームアリルスルファターゼB

HEALTH WORDS / 用語解説

アリルスルファターゼB

Arylsulfatase B

アリルスルファターゼBとは、リソソーム内に存在する酵素の一つであり、ムコ多糖類の一種であるデルマタン硫酸およびコンドロイチン硫酸の硫酸基を加水分解する働きを持つタンパク質である。1 人間の体内において、細胞内のリソソームは不要となった物質の分解や代謝を担う重要な細胞小器官であり、アリルスルファターゼBはその内部で特定の基質を分解する生化学的な役割を担っている。2

本酵素の遺伝子はヒトの5番染色体の長腕(5q14文脈領域など)に局在しており、遺伝子変異によってアリルスルファターゼBの活性が低下あるいは欠損すると、体外へ排泄されずに細胞内に基質であるデルマタン硫酸などが蓄積することになる。1 このような酵素の先天性の代謝異常が原因となり発症する代表的な疾患として、ムコ多糖症VI型(マロトー・ラミ症候群とも呼ばれる)が知られている。2

ムコ多糖症VI型は常染色体劣性遺伝形式をとるライソゾーム病の一つであり、アリルスルファターゼBの機能不全により全身の様々な組織や臓器にグリコサミノグリカンが蓄積する臨床的特徴を示す。1 この疾患の患者では、骨格異常、関節拘縮、角膜混濁、心血管障害、呼吸器症状など多彩な症状が進行性に現れることが医学的に報告されている。2

臨床医学および分子生物学の分野では、アリルスルファターゼBの活性測定がムコ多糖症VI型の診断における重要な検査項目の一つとして利用されている。患者由来の白血球や皮膚繊維芽細胞を用いて酵素活性を測定することで、疾患の確定診断や保因者の同定が行われる。1 また、治療法としては、遺伝子組み換え技術によって作製された酵素製剤を定期的に投与する酵素補充療法などが開発され、症状の進行抑制やQOLの改善を目的として臨床応用されている。2

参考文献・出典

  1. KEGG GENE: https://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?hsa:411 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. Medical Subject Headings: https://meshb.nlm.nih.gov/record/ui?ui=D001153 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4