HEALTH WORDS / 用語解説
カスパーゼ5
カスパーゼ5(Caspase-5)とは、ヒトにおける炎症応答やアポトーシス(細胞死)の調節に関与する、システインプロテアーゼファミリーに属する酵素である。1 カスパーゼの一種であり、特に自然免疫系において重要な役割を果たしていることが知られている。2
カスパーゼ5の遺伝子は、ヒトの第11染色体の長腕に位置している。3 他の炎症関連カスパーゼであるカスパーゼ1やカスパーゼ4などとともに遺伝子クラスターを形成しており、進化の過程で近縁な遺伝子群から重複して生じたものと考えられている。3
分子構造の観点から見ると、カスパーゼ5は不活性な前駆体(プロエンザイム)として細胞内で合成される。2 システイン残基を活性中心に持つ蛋白分解酵素であり、特定のアミノ酸配列を認識して標的となるタンパク質を切断・活性化する機能を持つ。2 自己触媒的な切断や他のプロテアーゼによる切断を受けることで、二量体を形成し、活性型の酵素として機能するようになる。2
生体内における主な機能として、カスパーゼ5はインフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体の構成要素、あるいはその下流のエフェクターとして働き、免疫細胞におけるサイトカインの成熟や細胞死を誘導する。4 特に、外来の病原体由来のリポ多糖(LPS)などを細胞質内で直接認識し、非古典的インフラマソーム経路を活性化することが明らかにされている。2 これにより、インターロイキン-1βなどの炎症性サイトカインの産生が促進され、生体の防御反応や炎症性疾患の病態形成に関与する。4
また、カスパーゼ5の発現は、単球やマクロファージといった免疫関連細胞において顕著に見られるほか、さまざまな上皮組織の細胞でも確認されている。4 感染症や炎症だけでなく、がん細胞の増殖やアポトーシスへの抵抗性、さらには自己免疫疾患との関連性についても医学および生物学の分野で研究が進められている。4
参考文献・出典
- GenelCards: https://www.genecards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=CASP5 ↩
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P51878/entry ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/838 ↩1 ↩2
- GenelCards: https://www.genelCards.org/cgi-bin/carddisp.pl?gene=CASP5 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4