ホームグルタチオンペルオキシダーゼ3

HEALTH WORDS / 用語解説

グルタチオンペルオキシダーゼ3

Glutathione peroxidase 3

グルタチオンペルオキシダーゼ3とは、セレンをその活性中心に含む抗酸化酵素ファミリーの一つであり、主に血漿や細胞外液に存在して脂質過酸化物や過酸化水素を還元・解毒する糖タンパク質である12。

本酵素はGPx3またはGPX3とも略記され、ヒトにおいてはGPX3遺伝子によってコードされている1。 細胞内を主戦場とするグルタチオンペルオキシダーゼ1などの同族酵素とは異なり、グルタチオンペルオキシダーゼ3は血漿、母乳、尿、リンパ液といった extracellular fluids(細胞外液)の主要な抗酸化物質として機能している2。 生体内において活性酸素種(ROS)やフリーラジカルから組織を保護する重要な役割を担っており、酸化ストレスの軽減に大きく寄与している1。

生化学的な特性として、グルタチオンペルオキシダーゼ3は還元型グルタチオンを電子供与体として利用し、過酸化水素を水に、また有機過酸化物を対応するアルコールに還元する触媒作用を持つ2。 この反応の過程で、還元型グルタチオンは酸化型グルタチオンへと変換される。 ヒトの体内では腎臓の近位尿細管上皮細胞などで主に生合成され、その後血中へと分泌されて全身を循環することが知られている2。 そのため、腎機能の低下や微量元素であるセレンの欠乏状態に際しては、血中のグルタチオンペルオキシダーゼ3の活性や発現量が変動することが臨床的にも注目されている3。

近年の分子生物学および医学の研究においては、グルタチオンペルオキシダーゼ3の発現低下や遺伝子多型、メチル化によるエピジェネティックなサイレンシングが、様々な疾患の病態形成に関与していることが示唆されている1。 特に動脈硬化や心血管疾患、さらには大腸癌や胃癌をはじめとする各種の悪性腫瘍において、腫瘍抑制遺伝子的な機能不全との関連性が研究されている1。 細胞外の酸化ストレス防御機構の破綻が、細胞のアポトーシス誘導やDNA損傷を引き起こすため、本酵素の正常な働きは生体防御の観点から極めて重要である2。

参考文献・出典

  1. PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/56845344 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. 遺伝子疾患情報リスト: https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bgn?hsa:2878 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  3. PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.近/compound/56845344 ↩