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HEALTH WORDS / 用語解説

タンパク質間相互作用

Protein-Protein Interaction

タンパク質間相互作用とは、2つ以上のタンパク質分子の間で特異的な物理的接触が生じる現象、あるいはその結合を指す言葉である。1

生物体内において、単一のタンパク質が単独で機能することは稀であり、多くの場合、他のタンパク質や核酸などの生体分子と複雑な分子複合体を形成することで、その生物学的機能を発揮する。2

これらの相互作用は、細胞内のあらゆる生命現象、すなわちシグナル伝達、代謝経路の制御、遺伝子発現の調節、細胞周期の進行、さらには免疫応答や構造タンパク質による細胞骨格の形成に至るまで、極めて広範なプロセスにおいて中心的な役割を担っている。1

タンパク質間相互作用を介した分子間の結合は、その持続時間や結合の強さに応じて、恒常的なものから一時的で動的なものまで多様な形態が存在する。2

恒常的な相互作用では、一度形成された分子複合体は比較的安定であり、構成要素が容易に解離しない傾向があるのに対し、一時的な相互作用はシグナル伝達や酵素による修飾などの局面において必要に応じて迅速に結合と解離を繰り返し、細胞内情報伝達のスイッチとしての役割を果たす。1

分子レベルでの結合様式としては、アミノ酸側鎖間の水素結合、静電相互作用(塩橋)、疎水性相互作用、およびファンデルワールス力などの非共有結合性の物理化学的力が複合的に寄与している。2

これらの相互作用面の形状や化学的性質の相補性が、特定のタンパク質同士を正確に識別し、結合するための特異性を決定付けている。1

近年では、網羅的なタンパク質間相互作用を解析するための様々な実験的手法およびバイオインフォマティクスによる予測手法が開発されている。2

実験的手法としては、酵母二面体法(Y2H)やアフィニティータグを用いた質量分析法などが広く用いられており、生体内における網羅的なインタラクトームの解明が進められている。1

また、こうしたタンパク質間相互作用のネットワークの破綻や異常な結合は、がんや神経変性疾患をはじめとする様々な疾患の発症や進展に深く関与していることが明らかにされている。2

そのため、特定のタンパク質間相互作用を阻害あるいは制御する低分子化合物や抗体医薬品の開発は、新しい創薬ターゲットとしても大きな注目を集めており、医薬品化学の分野において活発な研究が行われている。1

参考文献・出典

  1. NIBIOHN 医薬基盤・健康・栄養研究所: https://www.nibiohn.go.jp/eiken/chosa/bunken_pdf/j_113_2_22-26.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 国立遺伝学研究所: https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2021/04/research-highlights_ja-20210419.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5