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HEALTH WORDS / 用語解説

ホスホイノシチド3-キナーゼ

Phosphoinositide 3-kinase

ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)とは、細胞の増殖、生存、代謝、運動能など多様な生理機能を調節するシグナル伝達に関与する酵素のファミリーである12。

PI3Kは基質となるホスホイノシチドのイノシトール環の3位の水酸基をリン酸化する触媒作用を有しており、生成された脂質メディエーターは細胞膜上で下流のタンパク質をリクルートする働きを持つ32。

構造や活性化のメカニズム、基質特異性などに基づいて、PI3KはクラスI、クラスII、クラスIIIの3つの主要なファミリーに分類されている3。

この中で最も広く研究されているのがクラスI PI3Kであり、受容体チロシンキナーゼやGタンパク質共役受容体からの刺激によって活性化され、ホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸(PIP3)を産生する2。

産生されたPIP3は、AKT(プロテインキナーゼB)などのセリン・トレオニンキナーゼを細胞膜へとリクルートし、そこでPDK1などの上流・下流因子によってリン酸化・活性化されることで、PI3K-AKT経路と呼ばれる重要なシグナル伝達経路を形成する2。

PI3K-AKT経路は細胞の生存やアポトーシスの抑制、糖代謝の促進などにおいて中心的な役割を果たしているため、生体の正常な維持に不可欠である2。

一方で、この経路の異常な亢進や遺伝子変異は、癌(悪性腫瘍)の発生、進展、細胞増殖の暴走、さらにはインスリン抵抗性や糖尿病をはじめとする代謝疾患など、多くの疾患の発症や病態に関与していることが明らかにされている2。

そのため、PI3Kは分子標的薬や阻害薬の重要な創薬ターゲットの一つとなっており、抗悪性腫瘍剤などの開発において精力的な研究が進められている2。

参考文献・出典

  1. ライフサイエンス辞書: https://lsd-project.jp/cgi-bin/lsdrs.cgi?kwd=%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%893-%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BC ↩
  2. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/files/000216744.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  3. ライフサイエンス辞書: https://lsd-project.jp/cgi-bin/lsdrs.cgi?kwd=%E3%83%9B%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%81%E3%83%893-%E3%82%AD%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%BC ↩1 ↩2