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HEALTH WORDS / 用語解説

冠動脈石灰化

Coronary artery calcification

冠動脈石灰化とは、心臓の血管である冠動脈の壁にカルシウムが沈着する病態であり、動脈硬化の進行を示す重要な指標の一つである。1

冠動脈の動脈硬化が進行する過程において、血管内皮の障害や炎症が生じ、そこに脂質が蓄積することでプラーク(粥腫)が形成される。2

このプラークが慢性炎症を経て修復される過程や、組織が壊死する過程において、カルシウムやリン酸塩などのミネラルが沈着し、石灰化が引き起こされる。1

冠動脈石灰化の主な原因としては、加齢、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などの動脈硬化の危険因子が深く関与していることが知られている。2

特に脂質異常症によるコレステロールの蓄積や、高血圧による血管壁への物理的ストレスが血管の老化を早め、石灰化の進展を加速させる要因となる。1

また、腎機能障害(慢性腎臓病)を有する患者では、体内のミネラル代謝の異常が生じやすいため、血管の石灰化がより早期に、かつ高度に進行することが臨床的に広く知られている。2

冠動脈石灰化自体の初期段階では、特異的な自覚症状が現れることはほとんどないが、石灰化を伴うプラークがさらに発達し冠動脈の管腔が狭窄すると、心筋への血液供給が不足するようになる。1

その結果、労作時に胸部圧迫感や疼痛を引き起こす狭心症や、血栓の形成によって冠動脈が完全に閉塞し心筋壊死を来す心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症するリスクが高まる。2

冠動脈石灰化の検査および評価には、主に心臓の画像診断技術が用いられ、多列検出器CTや電子線CTを用いた冠動脈CT検査が非常に有用である。1

これらの画像診断装置を用いることで、造影剤を使用しない非造影CTでも冠動脈内のカルシウムの蓄積量を定量的に評価することが可能であり、アガストン法などによる冠動脈石灰化スコア(CACスコア)として数値化される。1

算出されたスコアが高いほど、冠動脈全体の動脈硬化の病変が進行しており、将来的な心血管疾患の発症リスクが高いと判断されるため、リスク層別化や予防医療の指標として広く活用されている。1

冠動脈石灰化に対する治療および予防アプローチとしては、石灰化した血管を直接元に戻すことは困難であるため、動脈硬化のさらなる進行や心血管イベントの発症を予防することが中心となる。2

具体的には、生活習慣の改善として、禁煙、塩分や脂質を控えた食事療法、適度な有酸素運動による体重管理が行われる。2

さらに、合併している高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患に対しては、降圧薬、血糖降下薬、スタチンなどの脂質異常症治療薬を用いた薬物療法が厳格に実施される。2

参考文献・出典

  1. 国立循環器病研究センター循環器情報サービス: https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/osh/general/checkup/cac/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. 厚生労働省e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7