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HEALTH WORDS / 用語解説

慢性好酸球性白血病

Chronic Eosinophilic Leukemia

慢性好酸球性白血病とは、造血幹細胞のクローン性増殖により、骨髄中および末梢血中で好酸球が持続的に増加し、組織や臓器の障害を引き起こす骨髄増殖性腫瘍の一種である。1 世界保健機関(WHO)の分類においては、好酸球増多症およびPDGFRA、PDGFRB、FGFR1といった特定の遺伝子異常を伴う myeloid and lymphoid neoplasms(骨髄・リンパ系腫瘍)に位置づけられている。1

本疾患の病態の核心は、造血幹細胞レベルでの遺伝子変異や染色体異常に起因する好酸球系前駆細胞の異常増殖にある。2 特に血小板由来成長因子受容体アルファ(PDGFRA)や血小板由来成長因子受容体ベータ(PDGFRB)の遺伝子再構成を伴うものが知られており、代表的なものとしてFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子などが挙げられる。1 これらの異常遺伝子から産生されるキメラタンパク質は、常にチロシンキナーゼ活性が亢進した状態にあるため、細胞の増殖シグナルが過剰に送られ、好酸球の腫瘍性増殖が引き起こされる。2

臨床的な症状としては、好酸球の著明な増加に伴い、さまざまな臓器への浸潤と脱顆粒した塩基性タンパク質などのメディエーターによる組織障害が生じる。1 特によく障害される標的臓器として、心臓、肺、消化管、皮膚、神経系などが挙げられる。2 心臓病変では、心内膜線維症や血栓形成を伴う心筋症が引き起こされ、心不全の原因となるため予後を左右する重要な要因となる。1 呼吸器系では咳嗽や呼吸困難、消化管では腹痛や下痢、粘膜潰瘍などが生じることがある。2

診断においては、末梢血検査での持続的な好酸球増多(通常1.5 × 10^9/L以上)の確認が不可欠である。1 さらに、骨髄穿刺および骨髄生検による形態学的検査、細胞遺伝学検査、ならびに分子遺伝学的検査を実施し、白血病細胞におけるクローン性異常や特定の融合遺伝子の有無を証明することが求められる。2 他の原因による二次性好酸球増多症(寄生虫感染症、アレルギー疾患、膠原病など)や、反応性好酸球増多を的確に鑑別することが極めて重要である。1

治療方針は、原因となる遺伝子異常の種類や病期に応じて決定される。2 FIP1L1-PDGFRA陽性などのチロシンキナーゼ阻害薬の標的となる異常を有する症例に対しては、イマチニブなどの分子標的薬が第一選択として用いられ、非常に高い寛解導入率と分子遺伝学的寛解が期待できる。1 一方、チロシンキナーゼ阻害薬が無効な症例やPDGFRA/B陰性の症例に対しては、副腎皮質ステロイド薬、抗悪性腫瘍薬(ヒドロキシカルバミドなど)、あるいはインターフェロン-αを用いた薬物療法が試みられる。2 難治性の経過を示す場合や急性転化を起こした場合には、根治を目指して造血幹細胞移植が考慮されることもある。1

参考文献・出典

  1. 難治性疾患政策研究事業:希少難治性血液疾患に関する調査研究班: https://www.nanbyou.or.jp/entry/5586 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 小児慢性特定疾病情報センター: https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_028/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7