HEALTH WORDS / 用語解説
末梢血
Peripheral blood
末梢血とは、血管内を循環している血液の総称であり、深部組織や骨髄などの造血器官に対して、体表や四肢などの末梢組織を流れる血液を指す。1
ヒトをはじめとする哺乳類の末梢血は、液体成分である血漿と、赤血球、白血球、血小板などの有形成分(血球)によって構成されている。1
赤血球はヘモグロビンを含有しており、肺で取り込んだ酸素を全身の組織や細胞へ運搬し、組織から二酸化炭素を回収して肺へと排出する役割を担っている。1
白血球は、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などの多様な細胞群から構成されており、細菌やウイルスなどの病原体の侵入に対する生体防御や免疫応答の中心的な機能を果たす。1
血小板は巨核球の細胞質がちぎれて形成される無核の細胞断片であり、血管が損傷した際にその部位に集合して血液凝固を促進し、出血を止める止血作用において不可欠な役割を持つ。1
血漿は水分を主成分とし、アルブミンやグロブリンなどの血漿蛋白質、電解質、栄養素、ホルモン、代謝産物などを溶解・懸濁させて全身へ運搬するとともに、体温調節や浸透圧の維持にも寄与している。1
臨床医学および医学研究の領域において、末梢血の採取は患者への侵襲が比較的少ない検査手法として広く用いられている。2
末梢血一般検査(血算、CBC)では、赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを測定し、貧血、感染症、血液疾患などの病態を把握するための重要な指標とされる。2
また、末梢血塗抹検査では、顕微鏡を用いて血球の形態的異常や異型リンパ球、芽球などの出現を観察し、白血病や悪性リンパ腫をはじめとする血液悪性腫瘍の診断や鑑別診断に活用される。2
近年の分子生物学や遺伝子検査の進歩に伴い、末梢血中に遊離する血中循環腫瘍細胞(CTC)や細胞外小胞、セルフリーDNA(cfDNA)などを解析するリキッドバイオプシーの技術が開発され、がんの早期発見や治療効果のモニタリング、遺伝子変異の網羅的解析への応用が進められている。3
参考文献・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-079.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 国立がん研究センター 希少がんセンター: https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/leukemia/index.html ↩1 ↩2 ↩3
- 国立がん研究センター 研究所: https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/experimental_pathology/lab04/index.html ↩