HEALTH WORDS / 用語解説
末梢静脈栄養
Peripheral Parenteral Nutrition
末梢静脈栄養とは、主に四肢などの末梢静脈をルートとして輸液カテーテルを留置し、水分、電解質、アミノ酸、糖質、脂肪などの栄養素を投与する栄養療法の一つである。1
中心静脈栄養と比較して、鎖骨下静脈や内頸静脈といった太い中心静脈を穿刺する必要がないため、気胸などの重篤な合併症のリスクを回避できるという利点がある一方で、高張な輸液を投与すると血管痛や静脈炎を引き起こしやすいため、主として浸透圧が比較的低い輸液製剤を用いて行われる。2
適応となるのは、消化管が使用可能であるものの経口摂取が一時的に不十分な患者や、侵襲の軽い手術後、あるいは中心静脈栄養を導入するほどではない比較的短期間の栄養管理が必要な病態である。3
投与できるエネルギー量や栄養素の濃度には末梢静脈の耐容量による限界が存在し、一般的に高濃度の糖質や電解質をそのまま大量に投与することは困難であるため、総エネルギーや栄養状態の維持には不十分となる場合があり、長期的な栄養管理には向かないという制限がある。4
血管合併症の予防や管理上の工夫として、注射針の代わりに留置針やサーフロー針を用いて血管への負担を軽減することや、脂肪乳剤を併用して非蛋白熱量の補給を行うこと、また輸液ラインや穿刺部の定期的な観察と消毒を行ってカテーテル関連血流感染症などの感染症を予防することが重要視されている。5
臨床現場においては、患者の代謝状態や肝機能、腎機能、血糖値などを頻回にモニタリングし、輸液の組成や投与速度を適切に調整しながら安全な静脈栄養の継続を図ることが求められる。6
参考文献・出典
- 栄養指導・管理のための医学用語事典: https://www.nutrire.jp/dict/archives/187 ↩
- 静脈経腸栄養テキストブック: https://www.jspen.or.jp/publication/textbook ↩
- 日本静脈経腸栄養学会 ガイドライン: https://www.jspen.or.jp/guideline/pdf/jspen_guideline_2013.pdf ↩
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/jp/minidet/res_1639014.html ↩
- 厚生労働省 院内感染対策サーベイランス: https://janis.mhlw.go.jp/about/index.html ↩
- 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器情報提供ホームページ: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/ ↩