HEALTH WORDS / 用語解説
束状帯
束状帯とは、副腎皮質の中間に位置し、最外層の球状帯と最内層の網状帯に挟まれた最も厚い層である。1 副腎皮質を構成する3つの層の中で最大の部分を占めており、全体積の約75パーセントから80パーセント程度を占有している。2
組織学的な形態として、束状帯の細胞は細胞質内に脂質滴を豊富に含んでいるため、ヘマトキシリン・エオジン染色などの一般的な染色法を用いた標本では、細胞質が白く抜けた網目状またはスポンジ状の構造として観察されることが多い。1 この特徴的な外観から、かつては海綿状層とも称されていた。1 細胞はやや大型で多角形を呈しており、毛細血管が発達した豊富な毛細血管網を取り囲むように、直線的な細胞索を形成して配列している。1
束状帯の主要な生理学的機能は、生命維持に不可欠な糖質副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイド(主にコルチゾール)の合成および分泌である。2 コレステロールを前駆体としてホルモン合成を行うため、細胞内にはコレステロールを取り込むための受容体や、ステロイド合成に関与するミトコンドリアが多数存在している。1
束状帯におけるコルチゾールの合成と分泌は、視床下部から分泌される副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の刺激を受けた下垂体前葉から、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が血中に放出されることによって調節されている。2 血中のコルチゾール濃度が上昇すると、その情報が視床下部や下垂体にフィードバックされ、ACTHの分泌が抑制されることで、ホルモンの血中濃度が一定の範囲内に保たれる仕組みになっている。2
コルチゾールは、糖質代謝において肝臓での糖新生を促進し、血糖値を上昇させる作用を持つほか、強力な抗炎症作用や免疫抑制作用を発揮する。2 また、身体がストレスを受けた際には、そのストレスに対する適応反応としても重要な役割を担っており、生体の恒常性維持に深く関与している。2
臨床医学的には、束状帯の機能異常はさまざまな疾患を引き起こす要因となる。2 例えば、束状帯の細胞の腫瘍化や過形成などによってコルチゾールが過剰に分泌されると、クッシング症候群が発症する。2 クッシング症候群では、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、高血圧、高血糖、骨粗鬆症などの特徴的な臨床症状が認められる。2