HEALTH WORDS / 用語解説
腹部超音波検査
腹部超音波検査とは、超音波(エコー)を用いて腹部の臓器の状態を画像化し、疾患の有無を調べる非侵襲的な画像診断法である。1 体表に超音波プローブ(探触子)を当て、臓器からの反射波を捉えてリアルタイムで映像化するため、X線などの放射線被ばくを伴わない安全な検査として広く行われている。2
腹部超音波検査の対象となる主な臓器には、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、前立腺などが含まれる。3 肝臓では脂肪肝、肝臓癌|肝癌、肝血管腫、肝嚢胞などの病変を評価することができる。2 また、胆道系の検査においては、胆石症、胆嚢ポリープ、胆嚢炎、さらには胆管の拡張や閉塞の有無を詳細に観察することが可能である。3
膵臓や腎臓の領域においても、腹部超音波検査は重要な役割を担っている。 膵臓は胃や腸管のガスの影響を受けやすい臓器であるが、膵癌や膵嚢胞、慢性膵炎などの診断においてスクリーニング検査として活用される。3 腎臓では、腎結石、腎嚢胞、水腎症、さらには腎細胞癌などの腫瘍性病変を検出することができる。2 さらに、腹部の大動脈を観察することで、腹部大動脈瘤の有無やその径を測定することも可能である。1
この検査の大きな利点は、患者に対する身体的負担が非常に少ない点にある。 痛みや苦痛を伴わずに短時間で実施できるため、人間ドックや健康診断の腹部超音波検査|基本項目としても頻繁に採用されている。2 また、造影剤を用いずに血流の評価を行うカラードラッパ法(カラードプラ法)などの技術を組み合わせることで、血流動態や腫瘍の血行豊富性に関する詳細な情報を得ることもできる。1
一方で、腹部超音波検査にはいくつかの限界や注意点も存在する。 超音波は空気(ガス)や骨を透過しにくい性質があるため、腸管ガスが多い場合や肥厚した皮下脂肪がある場合には、深部の臓器や膵臓全体の観察が困難になることがある。3 そのため、正確な画像を得る目的で、検査前には飲食の制限(絶食)が求められることが一般的である。2 加えて、検査結果の解釈や描出能が検査を行う医師や診療放射線技師、超音波検査士といった技術者の熟練度に左右されやすいという側面もある。1