HEALTH WORDS / 用語解説
肝障害
Liver injury
肝障害とは、様々な原因によって肝臓の細胞や組織に炎症や壊死などの障害が生じ、肝機能が低下した状態の総称である。1 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、代謝、解毒、胆汁の生成など生体維持に不可欠な多様な機能を担っているが、障害を受けても初期には自覚症状が現れにくい特徴を持つ。2
肝障害を引き起こす原因は多岐にわたり、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどのウイルス感染によるもののほか、過度のアルコール摂取に起因するアルコール性肝障害、生活習慣病に関連する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が挙げられる。3 また、医療用医薬品やサプリメント、健康食品などに含まれる成分が原因となって発症する薬剤性肝障害も臨床上重要な病態の一つである。4
肝障害の病態が進展すると、肝細胞の破壊が持続し、線維化と呼ばれる結合組織の過剰な蓄積が生じる。1 線維化が高度に進行した状態が肝硬変であり、肝臓全体が硬化して門脈圧亢進症や腹水、肝性脳症、食道静脈瘤といった重篤な合併症を引き起こすリスクが高まる。2 さらに、肝硬変を背景として肝細胞がんなどの悪性腫瘍が発がんする危険性も増大するため、持続的な経過観察と適切な治療が求められる。2
肝障害の診断においては、血液検査によってAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、アルカリグラファターゼなどの血清酵素値や、ビリルビン、アルブミン、プロトロンビン時間といった肝機能検査の指標を総合的に評価することが基本となる。3 加えて、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像診断や、必要に応じて肝生検を行い組織学的な評価を実施することで、障害の原因や線維化の程度を正確に把握することが可能となる。1
治療方針は肝障害の原因によって異なるが、ウイルス性であれば抗ウイルス薬の投与、アルコール性であれば禁酒および栄養管理、薬剤性であれば原因薬剤の速やかな投与中止が第一選択となる。4 生活習慣に起因する脂肪肝やNASHに対しては、食事療法や運動療法による体重管理および代謝異常の改善が不可欠である。3
参考文献・出典
- 厚生労働省 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/5501 ↩1 ↩2 ↩3
- 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター: https://www.kanen.ncgm.go.jp/cont/010/about.html ↩1 ↩2 ↩3
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html ↩1 ↩2 ↩3
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/i-safety/0001.html ↩1 ↩2