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HEALTH WORDS / 用語解説

CYP1

CYP1

CYP1とは、主として生体異物や内因性物質の代謝に関与するシトクロムP450(CYP)ファミリーの一つである酵素群、およびそれをコードする遺伝子ファミリーのことである。1

シトクロムP450スーパーファミリーの中で、CYP1ファミリーは脊椎動物において進化的に保存された重要なグループであり、主に芳香族炭化水素などの環境汚染物質や発がん物質の代謝活性化、ならびにステロイドホルモンやエイコサノイドといった内因性物質の酸化的代謝において中心的な役割を果たしている。2

ヒトゲノムにおいては、CYP1ファミリーには主にCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1という3つの主要な遺伝子が含まれており、それぞれがコードする酵素は独自の基質特異性と組織分布を示しながら薬物代謝や毒性発現に関与している。1

CYP1A1は主として肺や皮膚などの上皮組織や肝臓で発現し、タバの煙に含まれる多環芳香族炭化水素(PAH)やダイオキシン類などの環境化学物質の代謝において主要な触媒として働き、しばしば不活性化ではなく毒性物質や発がん物質への変換(代謝活性化)を引き起こすことが知られている。3

CYP1A2は主に肝臓に豊富に発現する酵素であり、カフェイン、アセトアミノフェン、および芳香族アミンなどの多様な外来異物や医薬品の代謝に寄与するほか、調理された肉類などに含まれるヘテロ環アミンの代謝活性化にも深く関与している。4

CYP1B1はホルモン依存性腫瘍の標的組織(乳房、卵巣、前立腺など)や眼組織で広く発現が確認されており、エストロゲンの水酸化反応などの内因性代謝を触媒するとともに、原発性開放隅角緑内障の原因遺伝子の一つとしても臨床的に重要な位置を占めている。5

これらのCYP1ファミリー遺伝子の多くの発現は、細胞質の受容体である芳香族炭化水素受容体(AhR)を介したシグナル伝達経路によって強力に制御されており、ダイオキシンなどのリガンドがAhRに結合して核内へと移行し、DNA上のキシロース応答配列などに結合することで転写誘導が引き起こされる。3

また、CYP1が媒介する代謝反応は酸化反応であり、通常は分子状酸素と補酵素であるNADPH-シトクロムP450還元酵素との協調的な働きによって基質への酸素原子の導入が行われ、これが結果として解毒に繋がる場合と、より反応性の高い中間体を生じてDNA損傷や細胞障害を引き起こす場合の両面の生物学的意義を持つ。2

このようにCYP1は、薬理学、毒性学、環境医学、腫瘍学などの多岐にわたる分野において、生体の化学物質防御機構および発がんリスク評価の観点から非常に重要な分子標的として研究が続けられている。3

参考文献・出典

  1. NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene?Db=gene&Cmd=DetailsSearch&Term=CYP1 ↩1 ↩2
  2. 遺伝子医学 2011年 1号: https://www.mg-if.com/books/gene2011_01.html ↩1 ↩2
  3. Medical Subject Headings: https://meshb.nlm.nih.gov/record/ui?ui=D065707 ↩1 ↩2 ↩3
  4. Medical Subject Headings: https://meshb.nlm.nih.gov/record/ui?ui=D065708 ↩
  5. Medical Subject Headings: https://meshb.nlm.nih.gov/record/ui?ui=D065709 ↩