HEALTH WORDS / 用語解説
酸化反応
Oxidation reaction
酸化反応とは、広義には原子、分子、あるいはイオンが電子を失う化学反応のことを指す。1 元々は酸素と化合する反応や、化合物から水素が奪われる反応として定義されていたが、現代の化学および生物学においては、より包括的に電子の授受を伴う酸化還元反応の一部として位置づけられている。2
生物学的システムにおいて、酸化反応はエネルギー代謝の中心的な役割を果たしている。 例えば、ミトコンドリア内で行われる細胞呼吸の過程では、栄養素の分解によって生じた電子が電子伝達系を構成する補酵素や蛋白質へ次々と渡される。3 この一連の酸化反応と還元反応の連鎖を通じてATP(アデノシン三リン酸)が合成され、生体が生命活動を維持するためのエネルギーが産生される。4
一方で、生体内における過度な酸化反応は、活性酸素種やフリーラジカルの過剰産生を引き起こす原因となる。5 これらは非常に高い反応性を示し、細胞膜を構成する脂質、タンパク質、さらには遺伝情報を担うDNAなどの生体分子を攻撃して損傷を与える。6 このような状態は酸化ストレスと呼ばれ、がん、動脈硬化、神経変性疾患などの様々な疾患や、生体の老化現象の主要な原因の一つと考えられている。7
生物は、このような酸化ストレスの害を防ぎ生体防御を行うために、抗酸化物質や抗酸化酵素といった防御機構を備えている。8 例えばカタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)といった酵素は、有害な活性酸素を無毒な物質へと変換する働きを持つ。9 また、ビタミンCやビタミンEなどの低分子化合物も、自らが優先的に酸化反応を受けることで生体分子を保護する役割を果たしている。10
参考文献・出典
- 化学用語辞典: https://www.jstage.jst.go.jp/article/chemics/2015/0/2015_201501/_article/-char/ja ↩
- 生物化学データベース: https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-19K06583/19K06583seika.pdf ↩
- 文部科学省 学術用語集: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrs1963/31/5/31_5_422/_article/-char/ja ↩
- 生命科学研究プラットフォーム: https://www.amed.go.jp/news/release_20200415.html ↩
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html ↩
- 国立医薬品食品衛生研究所: https://www.nihs.go.jp/hse/iyakuhin/oshirase/080515.html ↩
- 国立環境研究所: https://www.nies.go.jp/kanko/iho/iho148/iho148-03.html ↩
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/attach/pdf/index-26.pdf ↩
- 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構: https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2001/tarc01-09.html ↩
- 医薬基盤・健康・栄養研究所: https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail520.html ↩