HEALTH WORDS / 用語解説
PKD2L1
Polycystic kidney disease 2-like 1 protein
PKD2L1とは、多発性嚢胞腎関連タンパク質ファミリーに属するTRPチャネルの一種であり、主として細胞膜に局在してイオンチャネルとして機能する膜タンパク質である。1
PKD2L1遺伝子によってコードされるこのタンパク質は、TRPPファミリー(Transient Receptor Potential Polycystin family)に分類される。2
構造的には、他のTRPチャネルと同様に6回膜貫通ドメインを持つサブユニットが集合して四量体を形成し、細胞外からの様々な物理的刺激や化学的刺激に応じてイオンを透過させる通路として働く。3
ヒトの体内においては、PKD2L1は中枢神経系をはじめとする多様な組織で発現していることが確認されている。1
特に、脊髄の脳脊髄液と接する領域や、脳の特定の部分において神経細胞や上衣細胞に発現が見られることから、脳脊髄液の流速や化学成分を感知するセンサーとしての役割が示唆されている。3
また、PKD2L1は味覚受容細胞の一部でも発現しており、酸味を感知する受容体としての機能を持つことが明らかにされている。2
酸味物質が細胞外から作用すると、PKD2L1を介したイオンの流入が生じ、味覚神経へシグナルが伝達されるメカニズムの一部を担っていると考えられている。3
さらに、PKD2L1は同属のPKD1L1などの他のタンパク質と複合体を形成し、一次繊毛などの細胞小器官の機能維持やシグナル伝達経路の調節に関与しているとの研究もある。1
このように、PKD2L1は感覚受容、ホメオスタシスの維持、および神経系の生理学的機能において多様かつ重要な役割を果たしている分子である。2
参考文献・出典
- Genatlas: https://genatlas.medecine.univ-paris5.fr/cgi-bin/detail.pl?symbol=PKD2L1 ↩1 ↩2 ↩3
- HUGO Gene Nomenclature Committee: https://www.genenames.org/data/gene-symbol-report/#!/hgnc_id/HGNC:9233 ↩1 ↩2 ↩3
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/9033 ↩1 ↩2 ↩3