HEALTH WORDS / 用語解説
アンジオテンシンII
Angiotensin II
アンジオテンシンIIとは、血圧の上昇や水・ナトリウムの保持に中心的な役割を果たす生理活性ペプチドであり、強力な血管収縮作用を持つホルモンである12。
体内の血圧が低下したり腎臓への血流が減少したりすると、腎臓の傍糸球体装置からレニンという酵素が血液中に分泌される3。 血中に放出されたレニンは、肝臓で産生されて血液中を循環しているアンジオテンジノーゲンという前駆体タンパク質に作用し、これを切断して不活性なアンジオテンシンIへと変換する14。
さらに、このアンジオテンシンIが主に肺の血管内皮細胞などに存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってペプチド結合を切断されることにより、生理活性を持つ強力なアンジオテンシンIIへと変換される12。 この一連の生体反応システムはレニン-アンジオテンシン系(RAS)と呼ばれており、体液量および血圧の恒常性維持に深く関与している4。
生成されたアンジオテンシンIIは、全身の血管平滑筋に存在する受容体であるアンジオテンシンII受容体(特にAT1受容体)に結合することによって、直接的に血管平滑筋を収縮させ、末梢血管抵抗を高めて血圧を上昇させる作用を示す21。 さらに、副腎皮質の球状層に作用してアルドステロンの分泌を促進する働きもあり、これにより腎臓の遠位尿細管および集合管でのナトリウムおよび水の再吸収が促進され、循環血液量が増加して血圧上昇が維持される14。
加えて、アンジオテンシンIIは脳の視床下部にある口渇中枢を刺激することで飲水行動を促し、水分の摂取量を増やす作用を持つほか、交感神経系の活動を亢進させることによっても循環器系を調節する41。
このようにアンジオテンシンIIは血圧維持に不可欠な生体防御機構を担う一方で、その過剰な活性化は高血圧の慢性化や心肥大、腎障害、血管障害などの病態を引き起こす主要な原因となる42。 そのため、臨床医学の領域においては、アンジオテンシンIIの生合成を阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)や、アンジオテンシンIIがその受容体に結合するのを直接ブロックするアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などが、高血圧症や心不全、腎疾患などの治療薬として広く用いられている24。
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907044810750567 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDetail/400173_2149007F1020_1_02 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/11-心血管疾患/高血圧/高血圧の生理}}}((J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907044810750567 ↩
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/11-心血管疾患/高血圧/高血圧の生理 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6