HEALTH WORDS / 用語解説
既往歴
Past medical history
既往歴とは、患者が過去に罹患した疾患や、受けた手術、外傷などの医療上の経歴全般を指す医学用語である。1 臨床の現場において、患者の健康状態や身体的背景を正確に把握するための最も重要な情報の一つとして位置づけられている。2
既往歴の聴取と記録は、初診時や入院時などの問診において不可欠なプロセスである。3 過去の病気が現在の症状や新しい疾患の発症にどのように関与しているかを評価する上で、極めて重要な判断材料となる。4 例えば、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の既往がある場合、それらが動脈硬化を進展させ、脳血管障害や虚血性心疾患などの重大な合併症を引き起こすリスクを考慮した診療が行われる。5
また、既往歴には過去にかかった感染症やアレルギーの有無なども含まれる。6 特に薬物アレルギーや食物アレルギーの既往歴を確認することは、今後の治療や薬物療法において、重篤なアナフィラキシーショックなどの副作用を未然に防ぐために極めて重要である。7 外科手術の既往がある場合、過去の手術による腹腔内の癒着などが、新たな腹部疾患の診断や次の外科手術の手技に影響を与える可能性があるため、正確な記録と継承が求められる。8
さらに、精神科領域や心療内科領域における過去の精神疾患の罹患歴も、治療方針の決定や薬剤の選定において重要な意味を持つ。9 このように、既往歴は単なる過去の記録にとどまらず、現在の患者の病態を立体的に理解し、将来の予後を予測するための基礎資料として、あらゆる診療科で活用されている。10
参考文献・出典
- 厚生労働省 標準化事業: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/20-21-01.pdf ↩
- 国立国会図書館リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/jp/index.html ↩
- 厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275.html ↩
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/ ↩
- 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-005.html ↩
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ ↩
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構: https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/hcp/0001.html ↩
- 日本外科学会: https://www.jsurg.or.jp/ ↩
- 厚生労働省 みんなのメンタルヘルス: https://www.mhlw.go.jp/kokoro/ ↩
- 日本医学会: https://jams.med.or.jp/ ↩