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HEALTH WORDS / 用語解説

癌(がん)

がん

癌(がん)とは、人体を構成する正常な細胞の遺伝子に不可逆的な変異が生じることで発生する、自律的かつ無秩序な増殖能を獲得した悪性腫瘍の一種である。1 広義には悪性腫瘍全体を指して「がん」と呼ぶことが多いが、狭義の医学的な分類においては、上皮組織から発生する悪性腫瘍(いわゆる癌腫)を指し、非上皮組織から発生する肉腫や、造血器の悪性腫瘍などとは区別される。2

人体は多数の細胞によって構成されており、通常の細胞は周囲の環境や生体からのシグナルを感知しながら分裂および増殖を行い、その役割を終えるとアポトーシス(プログラムされた細胞死)によって自然に消滅する。1 しかし、細胞のDNAが傷つき、癌遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活化といった遺伝子変異が蓄積すると、細胞はこの統制された増殖のメカニズムを逸脱する。2 その結果、細胞は無限に近い分裂能を獲得し、組織の恒常性を無視して際限なく増殖を続けることとなる。1

発生した癌は、その原発巣において周囲の正常組織の隙間に染み入るように広がりながら浸潤を起こす。1 さらに、増殖した癌細胞の一部は血管やリンパ管の壁を破ってその内部に入り込み、血流やリンパ流に乗って全身の遠隔部位へと運ばれる。1 運ばれた先の組織や臓器で定着・増殖を開始することを転移と呼び、多発性の病変を形成して生体の機能障害を引き起こす主因となる。1

癌の発生要因は多岐にわたり、加齢に伴う遺伝子変異の蓄積が最も基本的な背景として存在するほか、喫煙、飲酒、特定のウイルスや細菌への感染、紫外線や放射線への暴露、肥満や食生活の乱れといった環境因子、さらには遺伝的素因などが複雑に関与して引き起こされる。3 近年の分子生物学の進展により、癌の発生にはエピジェネティクスの異常や免疫監視機構の回避なども深く関与していることが明らかにされている。2

臨床医学においては、癌の診断および治療方針の決定のために、画像診断(CT、MRI、PETなど)、内視鏡検査、病理組織学検査(生検)などが行われる。4 治療法には、外科手術による腫瘍の切除、放射線治療によるDNA障害を介した細胞死の誘導、抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)を用いた化学療法、分子標的薬を用いた治療、以及び患者自身の免疫機能を賦活化する免疫療法などがあり、癌の種類や進行度(病期 / ステージ)に応じてこれらを組み合わせた集学的治療が実施される。5

参考文献・出典

  1. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/cancer/what_is_cancer.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/definition.html ↩1 ↩2 ↩3
  3. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/cancer/causes/index.html ↩
  4. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/dia_tre/diagnosis/index.html ↩
  5. 国立がん研究センター: https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/index.html ↩