HEALTH WORDS / 用語解説
抗酸化物質
Antioxidant
抗酸化物質とは、生体内で活性酸素などのフリーラジカルによる酸化ストレスを防御あるいは軽減する作用を持つ化合物の総称である。1
生物の体内では、酸素を利用してエネルギーを産生する過程や代謝の副産物として、あるいは紫外線や放射線などの外的要因によって、不対電子を持つ不安定な分子である活性酸素やフリーラジカルが常時生成されている。1
これらの一重項酸素、スーパーオキシドラジカル、ヒドロキシラジカルなどは、極めて高い反応性を示し、生体を構成するタンパク質、脂質、糖質、核酸(DNAなど)といった重要な生体分子と容易に反応してこれを酸化・損傷させる。1
このような酸化的な攻撃と、それに対する生体側の防御機構とのバランスが崩れ、酸化的ダメージが優位になった状態を酸化ストレスと呼び、これが蓄積することで細胞や組織の機能不全を引き起こし、様々な疾患や老化の促進につながると考えられている。2
抗酸化物質は、自らが優先的に酸化されることや、フリーラジカルに電子を供与してこれを安定な分子に変換することで、活性酸素の生成を抑制するか、あるいは生成された活性酸素を消去する働きを持つ。1
生体内における抗酸化防御システムは複雑であり、酵素性のものと非酵素性のものに大別される。1
酵素性の抗酸化物質としては、スーパーオキシドラジカルを過酸化水素と酸素に不均化するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、過酸化水素を水と酸素に分解するカタラーゼ、そしてグルタチオンを補酵素として過酸化水素や脂質過酸化物を還元するグルタチオンペルオキシダーゼなどの生体防御酵素が挙げられる。1
一方、非酵素性の抗酸化物質には、生体が体内で合成するものや、食事を介して外部から摂取しなければならない栄養素および植物化学物質(フィトケミカル)が含まれる。1
代表的なものとして、ビタミンC(L-アスコルビン酸)やビタミンE(トコフェロール類)、カロテノイド(β-カロテン、リコピン、ルテインなど)、ポリフェノール類(フラボノイド、アントシアニン、カテキンなど)が広く知られている。1
これらの抗酸化物質は、それぞれ異なる溶解性(水溶性あるいは脂溶性)や細胞内での局在性を持っており、例えばビタミンCは細胞質や血液などの水相で働き、ビタミンEは細胞膜の脂質二重層に組み込まれて脂質過酸化の連鎖反応を断ち切るなど、相補的に作用して生体を酸化ストレスから守っている。2