HEALTH WORDS / 用語解説
CD151
CD151とは、細胞表面に発現するテトラスパニンファミリーに属する糖タンパク質であり、インテグリンなどの膜受容体と複合体を形成して細胞接着、細胞運動、シグナル伝達などの多様な生物学的プロセスの制御に関与する分子である。1 2
CD151遺伝子はヒトの染色体上の11p15.5に位置しており、4回のエクソン-イントロン構造を持つ遺伝子によってコードされている。1 テトラスパニンファミリーの他のメンバーと同様に、CD151は細胞膜を4回貫通する構造を特徴としており、細胞質内に短いN末端とC末端を持ち、細胞外には2つのループ領域(小さなループと大きなEC2ドメイン)が突き出た立体構造をとっている。2 この構造により、CD151は他のテトラスパニン分子や特定のインテグリン(特にα3β1、α6β1、α6β4など)と強く結合し、テトラスパニン富化マイクロドメイン(TEMs)と呼ばれる膜上の特殊な微小領域を構築する。3
生体内において、CD151は上皮組織、内皮細胞、血小板、単球、神経系など幅広い細胞種で発現が確認されている。2 血小板の凝集や血栓形成の過程においても重要な役割を果たしており、CD151の機能異常や欠損は血小板の接着能や凝集能に影響を及ぼすことが示されている。3 また、皮膚や腎臓などの基底膜の構造維持にも寄与しており、組織の恒常性維持に不可欠な分子である。3
病態生理学的な観点からは、CD151は悪性腫瘍(がん)の浸潤や転移において非常に重要な役割を果たしていることが数多くの学術論文で報告されている。3 がん細胞が細胞外マトリックスを認識して遊走し、周囲の組織へ浸潤する際、CD151はインテグリンとの相互作用を介して細胞の運動性を高める。3 特に、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がんなどの様々な固形がんにおいて、CD151の過剰発現が腫瘍の悪性化や予後不良と相関することが示されているため、分子標的薬の開発における重要な治療標的あるいはバイオマーカーとしての研究が進められている。3
参考文献・出典
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/977 ↩1 ↩2
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/P48557/entry ↩1 ↩2 ↩3
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4163901/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6